[携帯モード] [URL送信]

Hollow Fung
9
 その刹那。ぐらりと視界が傾く。馬の悲鳴が耳をつんざく。直後、轟音と共に体が地面にたたき付けられた。全身に走る衝撃。何かを認識する間もなく何かの破壊音が耳元でする。上から破片が降ってくる。馬車だ。空間が開けて大きくなった戦闘音が降ってくる。状況を確認しようと起き上がろうとした瞬間、背中に激痛が走る。熱い。ビリビリする。破片でも刺さったのか。動くこともままならない。視界の端に紅が映る。それが自分の血だと認識するのに時間はかからなかった。血の気が引いていくのが自分でもよくわかる。次第に朦朧としてくる意識。認識のために頭を働かせることもできなくなってきた。
−ここまでか
既に音は聞こえなくなっていた。終焉を悟った私は視界の端に銀糸を捕らえたのを最後に意識を手放した。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!