Hollow Fung
10
｢肉食獣は何故牙を持っているか知っているか？｣
またあの記憶か。今までいた箱以外の唯一の、夢ともつかぬ記憶。何処だ、ここは。何度も夢に見るが、それ以上のことは何も記憶にない。誰かに作られたのかとも思えるような、箱とはあまりにも異質な記憶だ。
知らない、と夢の中の私が答えようとしたその時。何かの爆ぜる音が聞こえた。何だ？今までこんな音はなかったはずだ。爆ぜる音は段々と大きくなる。それに比例してぼやけてくる視界と、やり取り。そして、ついには朱くなり、その記憶は目の前から消し飛んだ。
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