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邂逅
1


過去には
興味がない

そして未来にも
また興味がない

かといって
現在に興味があるのかと
問われれば

それもまた違う

結局
生きているという事に
興味がないのだろう

それでも俺は
死んではいないから
今日もまた
ここにいる

あの日あの人が
与えてくれた
存在意義を
この胸に抱いて







『 邂逅 』






 酷く曖昧な記憶を指先で手繰る。

朧げにしか思い描く事の出来ない、父親であった男の顔は、頬がいつも骸骨のように扱け、無粋な丸眼鏡の下に隠された浅黒い隈が消えている所など一度も見た事が無い。

若くして、魔導皇国レイヴァスの王となった男に圧し掛かる、逃れる得ぬ重責。

日々の過労が容赦なく祟り、髪には所々白髪が交じり、憔れた顔は、実年齢よりも相当老けて見えた。

誰よりも早く起床し、難しい顔で書物を読み進め、要人達との謁見を交わし、僅かな明かりとなる蝋燭が燃え尽き、夜明けを待つほんの少し間だけ床につく。

あの男はそんな生活を来る日も来る日も繰り返していた。


国中の誰よりも働いていたし、誰よりも国を思っていた。誰よりも国を民を愛していた。




 光降り注ぐ碧花の宮殿(レセア・フリューセ)広い回廊、花咲く庭園、美しい城内。

中央廊下から上へと伸びる階段の、踊り場に飾られた1枚の肖像。

それは華美を好まず、質素倹約を旨とした男が、唯一つ妻との婚礼の際に描かせたもの。

国を導く若き王の姿。民衆から惜しみなく注がれたであろう期待と賛辞、そして祝福の声が聞こえるようだった。

婚礼衣装に身を包む若き2人は穏やかな笑みを讃えこちらを静かに見つめている。幸せ、だったのだろう。


――その頃の面影は今や見る影もない。



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あきゅろす。
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