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広い世界の夢物語


鼻に指を突っ込み言うMr.5に、マルロスは眉を寄せる。
汚ならしい、と思わず呟く。
戦おうとする王女に、彼女を庇うようにMr.9が金属バットを構え、Mr.5に躍りかかる。
動じる素振りもなく、Mr.5は指先の鼻くそを弾く。
それに眉間の皺を深くしたマルロスは、次の瞬間、Mr.9を吹き飛ばす爆発に目を見開く。
ただの汚ならしい行為が、攻撃だったとは思いもしなかった。
屋根の上で唖然とするマルロスの耳に、護衛隊長がゾロに訴える声が届く。

「…………!!剣士殿……!!貴殿の力を見こんで理不尽な願いを申し奉る!!」

「まつるな!!知るかよ、手を離せ!!」

「……あの2人組、両者とも能力者ゆえ私には阻止できん!!かわって王女を守ってくださるまいかっ!!どうか!!」

その隙に、王女は鳥の背中に飛び乗って逃げだし、Mr.5達が後を追い掛ける。
それを見送って、マルロスは屋根から飛び降りる。
ゾロの足を掴み、東の大国アラバスタ王国まで王女を無事に送り届けてくれ、そうすれば莫大な恩賞を、と必死に声を振り絞る護衛隊長。
事情は飲み込めないため、軽々しく引き受けるわけにもいかない。
ましてや、自分達は海賊だと言うことを判っているのか、とマルロスは思う。
大切な王女を海賊に預ける、普通ならそんなこと考えないだろう。
余程切羽詰まった事情があるのか、とマルロスが護衛隊長を見つめて考えていた時、上から声が降ってきた。

「莫大な恩賞ってホント?」

「エ?」

「その話のった、10億ベリーでいかが?」

「ナミさん!!」

いつから居たのか、足を組んで屋根の端に腰掛けるナミは、満面の笑顔を浮かべている。
その笑顔に、マルロスは思わず背筋が寒くなる。
明らかに何か企んでいる、そう思わせるには充分な笑顔だ。


 

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