広い世界の夢物語
5
酔い潰れてたんじゃ、と呆れ気味に問い掛けたゾロに演技だと笑うナミに、どうでも良さそうにゾロが溜め息を吐く。
「―――で?10億の恩賞を約束してくれるの?護衛隊長。私達に助けを求めなきゃきっと……王女様死ぬわよ?」
笑顔でそう言葉を紡ぐナミに、マルロスは思わず俯く。
立派な脅迫ではないか、と思わずにいられない。
挙げ句には、そんな大金の約束は出来ないと言おうとした護衛隊長に、一国の王女の値段はそれ以下だと言うのか、と痛いところを突く。
「出せ」
「脅迫じゃねェか」
側で聞いていたゾロが、さすがに突っ込みを入れる。
可愛らしい顔で脅迫とは、とマルロスが思わず遠くを眺めて思う中で、護衛隊長が口を開く。
「ゴホ……ならば、王女を国へ無事、送り届けてくださるというのなら!!王女に直接交渉して頂ければ確実です!!」
「………………!!まず先に助けろってわけね」
どうなるにせよ、今のナミを止めるのは無理なんだろうと、マルロスは成り行きを見守る。
そう言えば、ナミはお金に目がないとウソップが言っていたっけ、とぼんやりと思い出す。
「こうしている今にも……!!王女は奴らに命を……!!」
「……わかったわ、おたくの王女、ひとまず助けてあげる」
金銭の交渉は後にするしかないと、ナミは溜め息をひとつ吐いて立ち上がる。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!