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広い世界の夢物語
不審な船

昼食が済み、麦わらの一味は穏やかな海を眺めながら、まだ見知らぬ船大工について話をしていたら、ざばっと海から何かが現れた。

「逃げろ―――、シーモンキーだ!!」

ルフィの号令の元、いつの間にか風が止んでいた海を全力で漕いで逃げる。
迫る大波とシーモンキーに、マルロスは痛む右手を使えずに左手だけでオールを漕ぐ。

「緊急報告!!緊急報告!!12時の方角に船発見!!」

突如、見張り台に居たウソップからの報告に、オールを漕いでいる力自慢達は手を止めずに上を仰ぐ。
海賊かと問い掛ければ、ウソップは帆も旗も掲げていないから判らないと答える。
マルロス達は何だそりゃ、と疑問を抱きながらもオールを漕ぎまくる。

「乗ってる船員が……!!異様に少ねェし……それに………!!すげェ勢いでイジけてるぞ!!まるで生気を感じねェっ!!」

「どういうこった!?大丈夫か、あの船!?」

「このまま波に飲まれちまうぞ!!」

続いたウソップの報告に、麦わらの一味は疑問符を飛ばす。
生気を感じない程、クルーが落ち込んでいる船に向かいルフィが舵を切れと怒鳴ると、向こうの船は敵船から宝を奪えとか大砲を撃てとか、舵を切れとか、バラバラな指示が飛び交う。
指示を出す航海士や船長が居ない、そう聞こえたマルロスはそれに疑問を抱いた矢先、メリー号とすれ違うように向こうの船は大波に飲まれ、沈没した。
メリー号は、シーモンキーがいたずらに起こした大波を無事に逃れ、再び穏やかな海原を進んでいた。
湿度や気温が安定していることから、ナミとマルロスはもう次の島の気候海域に居ることに気付いていた。
ルフィが、見張り台のロビンに何か見えるかと問い掛ける。

「島がずっと見えてるわ」

「言えよ、そういう事は!!」

ウソップとルフィのツッコミにも動じず、ロビンは霧が深いことを伝える。
ナミがチョッパーに前方確認を任せ、ルフィはロビンにどれだけ島が楽しみなのか訴えて、次から気を付けるわとロビンはあしらう。
と、そんな和やかな船の上で、ウソップが不意に口を開く。

「――――ところで……さっきの船、気にならねェか?船長がいねェとか……航海士がいねェとか……旗はねェわ、帆はねェわ、やる気もねェわ、まとまりねェわで……海賊の一団として成り立ってねェんだ!!」

そんなウソップの疑問に、ゾロが海戦でもやって敗けたんじゃねェのかと口にするが、ウソップが見た限りでは船に戦闘の形跡はなかったと言う。
大したことじゃない、とさして気にも止めていないゾロやサンジ、ルフィに対して悪い予感がするぜと腕を組むウソップ。
そんなウソップにサンジは、いつものことだろ、と軽く流す。


 

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あきゅろす。
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