広い世界の夢物語 6 少しして、男の意識が戻る。 チョッパーがもう大丈夫だ、と診断を下したところで、男は煙草に火をつける。 マルロスが、男に倒れた経緯と原因についてを説明している間に、チョッパーは外のルフィ達を呼び戻す。 「ひし形のおっさん!!聞きてェ事があんだよ」 家に入ってきながらそう言ったルフィに、男は、モンブラン・クリケットは金塊狙いのアホ共と間違えたことを詫びる。 金塊をお持ちなの、と目を輝かせるナミにウソップが狙うな、と忠告する。 「おれに……聞きてェ事ってのは何だ?」 「"空島"に行きてェんだ!!行き方を教えてくれ!!」 「空島?」 ルフィの言葉を聞いた途端、クリケットは大声で笑い出す。 空島を信じてるのか、と笑い飛ばされたナミが拳を振り上げるも、ウソップが必死で相手は病人だと止める。 「"空島"はねェのか!?」 「…………フフ……さァな……あると言っていた奴を一人知ってるが、そいつは世間じゃ伝説的な大うそつき。その一族は永遠の笑い者だ」 そう語るクリケットの眼差しには、何処か寂しさがあるようにマルロスには見えた。 「うそつきノーランド」のことを語り始めたクリケットは、自身がそのノーランドの子孫であること、このジャヤが話の舞台であると言う。 遠い先祖の迷惑な話、そう言いながらも、その目には負の感情は見えない。 国を追われ、肩身せまく暮らすも人の罵倒は今もなお続く、そう言うクリケットはそれでも一族の誰一人、ノーランドを憎む事はないと言う。 なぜ、と言う問いに、クリケットはきっぱりと言い切る。 「ノーランドが類いまれなる、正直者だったからだ」 どういうことだ、と首を傾げる麦わらの一味にクリケットは話して聞かせる。 [*前へ][次へ#] |