翼をください。
きみのうた
―――…ガラガラ
「!」
教室にいた女の子は驚いてこっちを向いた。
「まだ人が残ってたなんて…。あ、あの…聞いてた?」
その女の子は、クラスでもおとなしめの古池さんだった。
いつも1人で窓の外を眺めている。
そんな姿に、実は憧れを持っていた。
「あ…う、うん。」
僕がそう言うと、古池さんの顔はカァッと赤くなった。
「あの…君、同じクラスの高瀬君…だよね?」
確かに僕の名前は高瀬誠ータカセ マコトーという。
人とあまり関わりを持たない彼女がよく自分の名前を知っていたな。
少し、嬉しかった。
「うん、そうだけど…。」
「あの…さっきの、忘れて?ね?」
「どうして?」
自分でも何でこんな言葉が出たのか分からなかった。
古池さんは「え?」と言って僕を見つめた。
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