翼をください。 きみのうた 「すごく綺麗な…歌声だったけど。」 「…え?」 僕は何を言っているんだ…? 自分の顔が熱くなるのが分かる。 すると いきなり古池さんが笑い出した。 「あははは!高瀬君て面白いのね!!」 彼女は笑いすぎて出てきた目元の涙を拭う。 そしてニッコリと笑った。 「でも、ありがとう」 逆光になっていてよく分からなかったが、とてもその笑顔には輝きがあるように見えた。 「別に…僕は、何も。」 僕は恥ずかしくなって目を反らした。 今思えば、僕はこの時から彼女に対する想いは“憧れ”ではなくなっていたのかもしれない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |