小説
夢、到来! 17
そしてみんなの練習が再開された。
俺は真っ白になってベンチに座る。
隣には元から真っ白になっていた監督が。
『…監督、一体どうしたんすか?』
「逃げたら死ぬ逃げたら殺される逃げたら死ぬ逃げたら殺される逃げたら死ぬ逃げたら殺される…。」
その言葉を永遠に繰り返す監督は…本当に不気味だったぞっ!;
―――… 陽が落ちて、辺りはオレンジ色に染まる。
中島が収集をかけると、俺もそこへ向かった。
「みんなぁ…5日間、どうだったかなぁ?俺はみんなに何かを残してあげる事は出来たかなぁ…。」
「中島さん…俺らワカメリトルの監督は、中島さんと言っても過言ではない位です!俺はこの5日間…絶対に忘れないっす!!」
俺の存在は忘れてたよな?
「練習が辛いって感じた事もあったけど、実際楽しいとか思った方が多かったし何より…自分自身が強くなれた気がします。一番嫌だった事は、差し入れがクッキーだった事。」
それ俺じゃん。
「みんな…ぐすっ。」
え、そこで泣くの?;
「また俺…来てもいいかなぁ?みんなと一緒に、野球やってもいいかなぁ??」
「当たり前ですわん!」
「また来て頂けるのを、いつでも待っています!」
何やかんや…本当に中島はみんなから慕われてるな。
コイツは本当に、良い指導者になるかもな!
そして、子供達は帽子を外すと中島に向かって頭を下げた。
「「「「「ありがとうございましたっ!!!!」」」」」
「いや、寧ろ俺のがありがとうなぁ!それじゃあ…またなぁ!!」
俺らがグラウンドを出ていくまでの間、子供達は決して頭を上げる事はなかった。
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