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香蘭学園
20
藍の言った多分の意味を履き違えれば全く違うものになってしまう。

ファジー過ぎる言葉は都合の言いように普通なら解釈する。時として後戻りが出来ない事態に遭遇していたら、と心配で堪らなかった。

昨夜の光景、また、藍が自分を追い詰めてしまっていないかが気掛かりで胸の内側がざわつく。


「朝までは確かにいた。その後は…、俺が出来ることは協力するから。」

平然を装い、浬がすまなそうに利華達に正直に答える。

「わかりました…。押しかけてしまってごめんなさい。」

「…俺、もう少し探してみます。な、利華…。」

ションボリ肩を落とす利華を彰が肩を抱き元気づけた。

「あ、もしもの為に…。」

浬が鞄から携帯を取り出す。藍が見つかった時にすぐにでも連絡が取れればとお互いに交換していた。



バタン!!

「藍、いるか!?」

部屋の中は静まり、返事は無い。慌てている浬の声だけが響き渡った。
鏡に映るのは血の気の引いた顔。

藍の部屋を開けるが、朝と何ら変わりがない。

ベッドも、荷物もそのままで、唯一違うのは、この部屋の住人が居ないことだけだった。

クローゼットの中の制服がない。朝、藍が着ていたのは見ていたので恐らく制服のままな格好でどこかに行ったのだろう。

「バカ…なんだから。」

浬は降りしきる窓の向こうを見るなり小さく溜息をついた。

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