パワー解除
受ける技の一発が重い上に、スピードもかなりのもの。
これでは手も足も出ない。どうすれば良いのか考えている余裕もない。
「ふははははっ!どうした!?お前達の力はその程度か?」
勝ち誇るかのように高笑いし始めるガーリックJr.。
その勢いに乗じ、彼は電流の混じった気功波を発動させ、二人に放ったのである。
辺りの壁や地面が更に破壊され、避難を余儀なくされるほどに酷い有様となった。
ーーガシッ!!
「うわあっ!」
だが、ガーリックJr.の急襲はこれに留まらず。
瓦礫の中から勢い良く飛び出すなり、真っ先に悟空の首元を鷲掴みにした。
「くっ……!!」
その後直ぐに、ピッコロも頭部を掴まれてしまい、彼の必死の抵抗も全く無意味と化した。
そのまま壁を突き破り、激しい音と共に建物の外へと突っ込んでいく。
そして、地面に向かって勢い良く降下し、二人を地面に叩きつけた。
ーーズゴオォォーーン!!
その衝撃によって地面は粉々に割れ、二人はその奥底まで沈め込まれてしまった。
「二人がかりでその程度か!失望したぞ孫悟空、ピッコロ!」
なかなか出てこない二人に対し、ガーリックJr.は腕組みをしながら罵声を浴びせる。圧倒的な力の差に、上機嫌になっているようだ。
だが、このままやられて黙っている二人ではない。
悟空とピッコロは、そこから抜け出すと、ガーリックJr.から距離を取る。
「クソッ!とんでもないパワーだ…」
「うかうかしてっとやられちまうな…」
ピッコロが、悔しそうにギュッと握り拳を作り、怒りを露(あら)わにしていると、それを横目で見ていた悟空は、冷静に頷きそう答える。
乱れた息を整えながら、次はどう出るべきか、頭の中で戦略を練っている様子。
すると、悟空は胴着の中に着ているシャツに手をかけ、素早く脱ぎ始めた。
シャツに靴、リストカバーが脱ぎ落とされると同時に、地面に次々とヒビが入る。
脱ぎ落とされたそれらは、全部で100Kgを超えるほどの重さらしい。
「…ほお、そいつを脱ぐのか」
そう言うなり、ピッコロも自らのマントに手をかける。悟空と同様に、脱ぎ落とされた場所にヒビが入った。
「ピッコロ、そう言えばおめぇも重いのをつけてたんだな」
先程ピッコロが己のターバンを取った時を思い出した悟空。その時もやはり地面にヒビが入っていたらしい。
すると、ピッコロはコキッと首を鳴らしながら答えた。
「修行しているのは貴様だけじゃないんだぜ?それに、真剣に力を出し切らないとヤバイ相手だからな」
今の彼の言葉からすると、今まで二人は実力を出し切って戦っていなかったという事になる。
もし、彼らが本気を出せば一体どこまで強くなるのだろうか。
「まあな…でもよ、おめぇとオラが一緒に戦うなんてな……」
全てを脱ぎ終えた悟空は、軽く伸びをすると、再び構えだす。
以前敵同士だった相手と手を組むなど、彼も予想していなかったようだ。
だが、若干嬉しそうである。
、
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