避難
ーーズドオォォーーン!!
だが次の瞬間、リファが向かう方向から激しい衝撃音が聞こえた。
何かが破壊され、建物の一部が崩れ落ちたように鈍い音だ。
「な、なに!?」
思わず足元にブレーキをかけ、立ち止まる。
壁が崩れ、悲惨な状態と化している。遠く離れたこの場所でさえも、その影響を派手に受けてしまったようだ。
この先にはきっと、想像以上の恐怖が待ち受けているに違いない。果たして、進んでも良いものだろうかと躊躇してしまったのだ。
するとその時ーー。
「そんな技オラには通用しねぇぞ!!」
その方向から、何者かの叫び声が聞こえてきた。
砂埃が入らないよう、目を細めながら様子をうかがっていると、今まで泣いていた少年の顔がパアッと明るくなった。
「おとうさんの声だ!おとうさんが助けに来てくれたんだ!」
「…え、おとうさん?今の声の人がそうなの?」
慌てて少年の方を見やり、再びその声のする方を見上げた。
だが、ここからでは遠過ぎて何も見えない。
相変わらず、激しい衝撃音が繰り返し響き渡っている。
たとえそこに親が居たとしても、そのような危険な場所に少年を行かせるわけにはいかない。
「ちょっと危ないね…落ち着くまで離れてよっか?」
やはり近付くには危険過ぎると判断したリファは、しばらくそこで様子を見る事にした。
一旦少年を下ろし、手を繋ぐ。
すると、彼もその手をギュッと握り返してくれたという。
リファは少年に向かってにっこり笑うと、すぐに目線を上へ移した。
「うぇえっ!?なっ…何あれ!?」
だが次の瞬間、リファは信じられないものを目にし、咄嗟に少年を庇うように抱き寄せた。
ーーギュイィィーーン!!
異様な二つの光が、ある一点をめがけて高速で向かっていたのだった。
どうやらその光の目標は、少年の父とされる人物のようだ。
このままでは危ない。
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