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謎の異星人戦士 後編





ーーピピッ



その時、彼の左耳の機械が再び反応した。



「……ん?大きなパワーを持ったヤツがいる。距離4880……」


「まさかっ…!カカロットか!?」



カッと目を見開くと、物凄いスピードでその方向へと飛んで行った。



********



だが、彼が向かっている先に居るのは全くの別の人物だった。



「ーーっ!?」



その人物は、異様な気にすぐに勘付くと、バッと振り返る。だが、近付いてきているとはいえ、まだかなりの距離はある。


並みの地球人がそう簡単にとらえられる場所ではない。とすると、五感の優れた人物に絞られる。


最早、思い当たる人物は一人しか居ないのだが。



「…な、なんだこのパワーは…!凄まじいパワーが近付いてくる……!まさか孫悟空か!?」



そう、その先に居たのはかつて悟空と戦ったピッコロ大魔王である。


彼は、こちらに向かってくる者に意識を集中させた。



「ちがう!!孫悟空じゃない!?」



それがハッキリと分かった時には、既にもう遅かった。


先程の長髪の男がピッコロの前に着地する。同時に、彼から盛大な舌打ちが飛んだ。



「ちっ…ハズしたか……」



誰かを捜しているのだろうか。ピッコロの姿を見た途端に面白くないと言わんばかりに顔を歪める。



「何者だ貴様…このオレ様に用でもあるのか?」



男の表情が何となく気に入らなかったピッコロは、眉間にシワを寄せる。



「お前などに用はない」


「じゃあ、何しにここへ来た!死にたいのか!?」



ピクリと目元を動かすピッコロ。自分に対し、全く興味を示さない相手にイライラしているようだ。



「ククク…えらく威勢が良いな……」



だが、相手は未だ余裕の笑みを浮かべ、左耳の機械に触れた。


すると、左目のスクリーン上にピッコロの姿が映し出されると共に、数値が浮かび上がる。



「ほう…戦闘力【322】か。こんなヤツも居たのか…だが、所詮オレの敵ではない」


「なんだと!?貴様、誰に向かって喋っているのか分かっているのか!?」



何のためらいもなく罵倒してくる相手に対し、ピッコロの苛立ちは更に増すばかり。



「さあな……」



ピッコロは声を荒げ威嚇するが、男は相変わらず目もくれない。




「くっ…!ずああっ!!」


ーードグォッ!!




とうとう挑発に我慢し兼ね、ピッコロはその男に向かって衝撃波を炸裂させた。


かなりの爆発が辺りに大きな影響を与えた。普通の人間ならば、一瞬にして消し去ってしまうだろう。



「くだらん技だな…ただホコリを巻き上げるだけか?」


「…な………な……」



だが、その爆発によって生じた砂埃の中では、男が余裕の笑みを浮かべて立っていた。


正に不死身である。



「今度はオレの番かな?では技の見本を見せてやろう……」



肘を曲げた状態で、右手を軽く上げると、精神を集中させ始めた。



「………っ!」



どうする事も出来ず、ただ突っ立っている事しか出来ないでいるピッコロ。


このまま、呆気なくやられてしまうのだろうか。



ーーピピピ…



だが、彼の攻撃は機械の反応により静止された。



「もう一つ、大きなパワーがある……!」



上空へ飛び上がると、再度機械の反応を確認する。



「あっちだ……!距離12909…この星で最も大きなパワー!今度こそ間違いない!」



それだけを言い残すと、今度は別の方角に向かって飛んで行った。



ーーガクッ……



男の気配が完全に消えた途端、ピッコロは倒れ込むように両手を地面についた。



「バカな…こ…このオレが…ふ…ふるえて動けなかった……」



少々息も乱れている。ピッコロでさえもこの様だ。先程の男は余程の実力に持ち主だという事が垣間見える。



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