機械都市
"本当に気をつけるのだぞ?"
地球の神は、そう強く念を押すと天界へ帰って行った。
一人になったリファは、目の前にある非常出口をただぼーっと見上げている。
「ここの扉を開ければ、世界が変わる…か。何か緊張するなあ……」
己の手のひらを揉むように擦り合わせ、パンパンと両頬を叩く。
覚悟が決まったのだろうか。「よし!」っと気合いの入った声を出すなり、ドアノブを掴む。
いよいよ新しい世界を拝む時がやって来たのである。
ーーキィィィー……
錆びついた金属が擦れ合うイヤな音が響き渡る。たが、その不快感も一瞬にして吹き飛んだ。
「うわあぁぁ…すごい…!」
扉の向こうに見える幻想的な景色に感動し、リファは一瞬にして心を奪われたようだ。
賑やかな街並みだった。色々な電子音や声が混ざり合い、活気で溢れている。
立派なビルがたくさん建っており、道路には宙に浮いた車が当たり前のように走っている。
例えてみるならば、未来を題材にした小説で挙げられる機械都市のような光景だ。
地球人は空を自由に飛ぶことが出来ないとは聞いていたリファだが、色んな意味で空を飛んでいる事に変わりはないだろうと感じていた。
だが、見たところでは以前出会ったガーリックやその従者のように、荒々しい者は居ない様子。
ホッとしたリファは、とりあえず歩道の隅っこに避難し、パンパンに膨らんだリュックを地面に下ろした。
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一方、地球の神はーー。
ーーシュッ!
「か、神様!お帰りなさい。どうでしたか?」
先程と同様に瞬間移動で戻ると、ミスター・ポポが既に彼を出迎えていた。
真っ先に出した言葉は、やはりリファの事だ。無事に下界へ行けたのか、どのような表情をしていたのかなど、知りたい事がたくさんある様子。
リファの事が其れ程に心配だったからだろうか、少々ミスター・ポポに焦りが見える。
「うむ、大層嬉しそうであった。 後は此処より見守るとしよう」
「……神様、その事で少し気になる事ある…こっち、来て欲しい」
「…リファが関わっておるようだな?」
「はい……」
ミスター・ポポが指差す方向を目で辿る地球の神。途端に表情が険しくなった。
何か嫌な予感がする。だが、リファは特殊な人物。彼女の周りで何か問題が起きても何らおかしい事はない。
地球の神は恐る恐る頷き、ミスター・ポポの後を追う。
どんな事が待っていようと、全てを受け止める覚悟を決めたようだ。
、
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