短編集 その@
ナイショ(真田幸村)
今日は、小十郎さんに云われて、甲斐まで、お使い。
手紙も持って来たし、お土産も持って来た。
安心して、信玄が居る城を目指して、歩いている。
「ん?」
気付けば、土埃が見える。
「蒼夜殿ぉおおおお!!」
「ふぎゃっ!!」
いきなりの叫び声に、蒼夜は飛び上がる様に驚いた。
「遅れて申し訳ござらぬぅっ!!」
「さ、真田?」
どうして、幸村がここにいるのか、不思議だった。
「某、鍛練をしていたのでござる」
「え…?ああ。別に気にしてねぇからさ。それに、今さっき着いた所だから、そんなに待ってねぇよ」
クスクス笑って、蒼夜は幸村を見つめる。
「左様でござるか。待たせたのではないかと思い…」
「気にしなくて良いってば。あこれ、真田へのお土産」
手に持っているお菓子を、幸村に渡す。
「某に、でござるか?」
「ああ。この間のお菓子、のお返し」
「気になさらずとも…」
「そう云う訳にはいかないよ」
そう云って、幸村に手渡す。
幸村は嬉しそうに笑って、その、土産を受け取る。
「それじゃあ、そろそろ、御館様の元まで、ご案内致す」
「おぅ、宜しく」
すると、蒼夜の手荷物をさりげなく持つ。
「悪いよ」
「これぐらい、構わぬ」
そう云って歩き始める。
もう、少しだけ、ゆっくりで良いよな?
もう、少しだけ、2人きりで居たいんだ。
けれど、その事は、まだ秘密にしておくよ。
何時か、笑い合える時が来たら…必ず伝えるから。
それまで、ナイショ。
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あとがき
鈍い二人の恋愛って、難しいですね(^^;)
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