短編集 その@
竜の機嫌の治し方A(伊達政宗)
〜蒼夜編〜


またしても、機嫌が悪い。



ポイッ、と、書面を丸めて、屑籠に投げ込む。

しかし、それは、政宗を嘲笑うかの様に外れ、コロコロ、と、転がって行く。

「shit

けれど、拾う事なく、再び、書類とにらめっこ。

どうやら、思い通りの回答が書かれていなかった様だ。
自分の思い通りに、世の中が進めば、『天下統一』なんて、誰でも簡単に出来る。

それは判ってはいる。
だが、当たり前の回答ではなく、どうするのか、の具体案が記載されてはいない書面に飽々(アキアキ)していた。

「………」

ピリッ。

パリッ。

空気が感電し始める。

「放電すんな

トトト…、と引き寄せられるが如く、姿を見せたのは、神前蒼夜。

「Ah?」

「良いか?アンタが力使うと、オレが何をしてようと、呼び寄せられる。だから、力を使うな

きょとん、とした眼差しに、はあ、と盛大な溜息を吐く。

「良いか

要するに、政宗が意識を問わず力(婆娑羅技など)を使うと、政宗の身に危険が及んだ、と、錯覚し、強制的に政宗の元に引き寄せられる、と、云うのだ。

「Hum…」

「で、放電の原因は―――…」

政宗の机の上に乗せられた書類の山を見て、蒼夜、絶句。

「手伝ってやるから、機嫌治せ。その後、ご褒美に―――…」

耳元で囁く。

微かに頬を赤らめ、政宗を上目遣いで見上げる。

「Okay.honey」

「ったく…世話の焼ける…」


久しぶりの2人きり。
機嫌の悪さはどこへやら。

竜の機嫌の治し方。
それは、幼馴染みと、ご褒美、1つ。





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あとがき

雪の事を書いたら、蒼夜をも書きたくなった。


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