まぼろばの蒼月
009
隠し港から歩いて、数十分。
エースの隠れ家に辿り着いた。
ドアが、ギギッ、と、耳障りな音を立てて開く。

「あ〜…、掃除しねェと」

ポツリ、と、呟く。
確かに、部屋は埃っぽい。
エースは、近くにあったソファにリュックサックを置くと、カーテンを引き、窓を開ける。

「先に掃除してから、寝ような」

箒片手に、エースは隠れ家の掃除を始めた。
勿論、シャナメルは背負ったまま。
下ろせば良いのだが、ダニにシャナメルの肌を傷付けさせる訳にはいかない。
そう考えての行動だった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




掃除と格闘する事、数十分。
干した布団を取り入れ、眠るシャナメルに掛ける。

『……すぅすぅ』
「目覚めさせてやっからな」

シャナメルの頬を撫でる。
仄かに感じる温もりに、エースは安心する。
このまま、眠るように息を引き取るんじゃないか、と、不安になっていた。
けれど、温もりを感じると言う事は、まだ、生きている証拠である。

「ふぁ……。おれも寝るか」

するり、と、シャナメルの横に身体を滑らせると、そのまま、瞳を閉じる。

[絶対ェに、目覚めさせてやっからな]

再度、決意するエースであった。


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あきゅろす。
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