まぼろばの蒼月
007
『……ん』

シャナメルの瞼がふるり、と、震え、ゆっくりと開かれる。
すると、目の前に写るのは、見覚えのある胸板。
腰に感じる、ずっしり、とした心地よい重さ。
どうやら、エースに抱き締められているようだ。

『……エースくん……』

すり……、と、感じる温もりに、頬を寄せる。

「……ん…メル……」

ぐい、と、身体を引き寄せられ、より一層密着する身体。
寝ている、と、判ってはいても、そんな些細な態度が嬉しく感じる。

『エースくん……ずっと、側に居てね……?』
「ーーーーー……メルが嫌だって言っても、側に居るぜ?」
『ーーー……!!!Σ(-∀-;)』

寝ている筈ではなかったのだろうか。
頭上より落ちた声に、シャナメルは慌てて顔を上げる。
すると、柔らかく笑うエースが、そこに居た。

『起きてた……の?』
「あァ。やっぱり、メルは可愛い(*^^*)」
『……みゅ……(*/□\*)』

独り言を聞かれて、シャナメルは恥ずかしさの余り、頬を赤く染めて、下を向く。

「クスクス。かーわい(*´∀`)♪」
『エースくんのバカ……』

ぷにぷに、と、頬を突付かれたシャナメルは、ますます頬を赤く染めて、俯いてしまう。

「なァ、メル」
『………』
「メル」
『……何?』

ふ、と、顔を上げると、そこには、真剣な表情をしたエースが居た。
ドキドキ、と、胸が鳴る。
緊迫した空気が、二人を包む。
エースは、シャナメルを腕に抱いたまま、上半身を起こす。

「おれ達さ、結婚するだろ?」
『………うん……何時かは、だけど……』
「結婚して、引っ越しするッつーのも良いんだけどよ……。結婚する前に、さ。その……なんだ……あの、さ」
『エースくん?』
「ーーー……結婚する前に、一緒に暮らさね?」
『………え?』

エースの真剣な表情に、シャナメルは目を外せなかった。
ドキドキ、と、胸が高鳴る。
かぁあ、と、頬に熱が集中する。


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