まぼろばの蒼月
006
「………ス……ース……エース!!!」
「!!」
耳元でバカデカイ声を出されて、ハッ、と気付く。
妄想に浸っている間に、どうやら会議は終わったようで。
残っていたのは、マルコとハルタ、そしてイゾウ。
「どうせ、シャナとの同棲を妄想してたんだろ?」
「あーんなコトやそーんなコトをシャナにさせるつもりだろうよぃ」
「………そりゃあ、メルがやってくれるなら(*^▽^*)」
「マジかよ……(--;)」
エースの言葉に、マルコ達は小さく溜息を吐いた。
[複雑そうに笑うシャナを想像できる(--;)]
[シャナ、災難だなf(^_^;]
[シャナに何をさせる気なんだよぃ]
三人三様、それぞれ思う所があるものの、それを口にはしない。
するだけ無駄だ、と、云う事を判っていたのだ。
「メルを説得しねェとな🎵」
ガタタ、と、椅子を引くと、足取り軽やかに、自身の部屋に戻っていく。
「説得出来るかねェ」
「さァな」
「ま、見守ってやろうや。間違った道に進みかけたら、おれらが止めてやりゃあ良い」
クツクツ、と、笑いながら、立ち去る背中を見送る三人。
その笑みは、普段見る事の無い、穏やかな笑みだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「メルー」
ガチャリ、と、部屋のドアを開ける。
すると、シーツに包まり、「すうすう」と、規律良い寝息を立てて眠るシャナメルが、視界に写る。
「寝て……ん?」
寝ているシャナメルに近付いて気付く。
"何か"を抱きしめている。
よくよく見れば。
それは、エースのパジャマを着た枕。
エースが会議に出てる間、シャナメルがエースのパジャマを枕に着せたようだ。
「ったく……。寂しいなら寂しいって云えよな」
苦笑いを浮かべて、エースはシャナメルの頭を撫でた。
目覚める事なく、シャナメルは「すうすう」と、静かな寝息を立てている。
「ふぁ……」
シャナメルの寝顔を見ていたエースは、欠伸を洩らす。
「おれも寝るか……」
シャナメルを起こさないように、ゆっくりとした動作で、抱きしめている枕を取り、枕カバーと化していた自身のパジャマを外し、元ある場所に戻す。
そして、シャナメルの横に身体を滑らせると、シャナメルの頭を腕に乗せた。
「おやすみ。メル」
ちゅ、と、旋毛にキスを落とすと、瞼を閉じる。
シャナメルを説得するなら、起きてからの方が良い。
寝ているシャナメルを起こしてまでも、話し合う事柄ではない。
そう判断したようで。
『ん……。エースく……』
「ん?おれはここに居る。メルの側に居る」
そう呟けば、嬉しそうな笑みが見てとれた。
「ふぁあ……」
再び、欠伸を洩らすと、襲い来る睡魔の誘いに乗るように、そのまま、眠りへと落ちた。
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