まぼろばの蒼月
005 エースside
「……メルが手配書に載った………?」

ガタタ、と、決められた椅子に腰を下ろしながら、エースの眉間に軽く皺が寄る。

「そうだよぃ。顔までは載ってねェが、名前が載っちまった」

エースは、マルコから受け取った手配書を見る。
そこには、

"シャナメル・オルフェウス Alive only……3億8千万ベリー"

と、記載されて居た。
まだ、"蒼の魔術師"としては知られていない。
エースは、心の中で安堵の溜息を吐いた。

「メルには絶対ェに云うなよ。自分がセイレーン族である事がネックになってっからな」
「当たり前だよぃ。シャナは気にしすぎるからな」
「けどな、何時かは知られるぜ」

イゾウの言葉も尤もで。
隠そう、としても、何時かは知られてしまう。

「判ってる。メルには、何時かは手配書が回るって云うのは伝えてある。ケド、"早過ぎる"」
「きっと、海軍がシャナの生まれ故郷まで行ったんだろうぜ」
「ーーーーー………果実の島に、か」
「兎に角だ。シャナを一人にするなよぃ。暫くの間、"メルメル印"はモビー内での販売だ」
「買う奴居るか?」
「目の前に居るだろぃ」

マルコの視線の先を追えば。

「何だ?」
「「「「「納得」」」」」
「???」

うんうん、と頷くマルコを始めとする隊長達に、エースは小首を傾げる。
どうして、自分に視線が集中しているのか、理解出来ないでいた。

「エース」
「何だよ、親父」
「メルが落ち着く迄、お前ェは、メルと一緒の部屋だ」
「「「「「「は?」」」」」」

いきなり、何を云い出すのだろうか。
突然、口を開いたニューゲートに、一同唖然。

「メルは思い詰めると何を仕出かすか判らねェからな。黙って出て行こうとするかも知れねェ。そうなったら、海軍や人拐いの思うつぼだ」
「………落ち着いたら、別居、ってェのは嫌だ。親父、同棲の許可くれよ」
「グララララララ!!良いだろう」
「シャナの意思は何処にいったんだよぃ」

ニューゲートとエースのやり取りに、マルコは突っ込んだ。
しかし、ニューゲートの許可が下りた事で、ふしだらな事を妄想しているエースの耳には届かなかった。






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