ブルー・デュール
桜 常 編
51
※
容赦なく中を攻め立てられ、そこが熱く腫れているのがわかる。
反応しかけの前をぎゅっと握られて体が震えた。
「あうっ……」
「わかってないようだから言うけど、お前は俺のものなんだよ。
俺が許さないかぎり絶対に逃がしてやらねえから。だから勝手な真似するな」
言いたい放題言っているが、確かに鳴瀬からは逃げられそうにない。
しかし勝手な真似というのがなにを意味するのかわからない。
おれはとぎれとぎれに言った。
「おれ、が……なに、したってんだよっ……」
「放課後、廊下で堂々とキスしてただろ。そんな仲がいい友達がいたなんて知らなかったな」
藤内のことか。
生徒会室のそばだったが周りには誰もいなかったはずなのに、どこから見ていたんだろう。
「それでよく平然と俺の前に来られたな。気づいてないとでも思ったか?」
「あれはっ、一度だけでいいからって言われて、仕方なく……」
「じゃあ一度だけって言われたらやらせてやんのかよ」
否定しようとしたら、タイミング良く指がいいところをかすめて喘ぎに変わってしまった。
自身を荒々しくしごかれて息が上がる。
呼吸がうまくできず、肺に酸素が入ってこない。
この息苦しさは、鳴瀬のせいではない。
おれは鞄に手を伸ばそうとしたが、鳴瀬の向こうにあるので届かない。
次第に胸の上下が激しくなり、背筋を嫌な汗が流れおちた。
「おい、なんとか言えよ」
鳴瀬はなにも言わないおれにいらいらしているようだ。
だが鳴瀬の指の動きと息苦しさに翻弄されて、言葉を紡ぐどころではない。
おれは力なく鳴瀬に寄りかかった。
「……戸上? おい」
ようやく鳴瀬はおれの異変に気づいたようだった。
秘部から指が抜かれて体を反転させられ、鳴瀬の戸惑った顔がぼんやり視界に映った。
鳴瀬は何度も短い息をはくおれを床に横たえた。
「おい、どうした? 大丈夫か?」
「か、鞄……とって」
息も絶え絶えに言うと、鳴瀬はすぐおれの鞄を取ってよこした。
常備している薬を取り出そうとするが、手に力が入らずうまくいかない。
「どれだ」
鳴瀬は震えるおれの手を押さえて言った。
「ポケットの……青いやつ……」
鳴瀬は鞄をあちこちさぐり、小さなピルケースを見つけだした。
中には一粒の真っ青な丸薬が入っている。
鳴瀬はケースから薬を出し、指でつまんでしげしげと見つめた。
「……なんだこれ? 薬なのか?」
そんな悠長なことをしていないで早く渡してほしい。
おれの無言の訴えに気づいた鳴瀬は、おもむろに薬を歯で挟んだ。
そのまま顔を近づけてくる。
おれは迷うことなく鳴瀬の口を舌で突いて開かせ、薬を受け取った。
ひと飲みにしてしまうと、目を閉じて苦しさが収まるまでじっと耐えた。
◇
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