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歪みのリボーン
保険室



HRを終わらせたバジルは、ひとまず職員室に向かった。


バジルが職員室に入ると、心配そうな顔をした沢田綱吉が近付いて来た。

「バジルくんっ、無事っ?
怪我してない?」

そう言ってぽんぽんバジルの身体を確認する。

「大丈夫ですよ沢田殿、少し黒板に穴はあいてしまいましたが」

バジルは安心させる様に笑顔で答えたが、綱吉は顔を蒼白にした。

「ちょっと、黒板に穴?!
てかバジルくん頬!
傷!!」

「え?」

バジルは首を傾げたが、頬を触ってみてやっと血が出ているのに気付いた。

血が出ていると言っても顎へと零れ落ちる程酷く無く、プツリと丸い滴が頬に浮き出てる感じだ。

綱吉の大袈裟な慌て様に教師が集まり始めた。

「こりゃ刃物で切ったんだな…
怖いよな第三校舎の連中は」

数学の教師の持田が困った様に眉を下げて言った。

「うーわー
ふっくらとした頬に滴る血も素敵だねぇ」

科学教師のヴェルデが今にもバジルの血を取ろうとして、それを英語教師のリボーンが殴って止める。

「この変態科学者が」

「焼き餅?」

「殺すぞ」

「はい、これ使って下さい」

ハルがバジルに可愛いハンカチを差し出す。

「ハル殿…
ありがとうございます。
ですが、この様に可愛らしいハル殿のハンカチを汚す訳にはいきません。
それに、こんなのほっといても大丈夫ですから」

バジルは失礼のないようにやんわりとハンカチを返した。

「はひ?!
ほっとけばって…駄目です!!」

そう言うハルに綱吉も頷く。

「そうだよ。
今すぐ保健室に連れてくよ!!」

「えっ?
そんな、拙者は大丈夫です」

「駄目、行くよ!」

バジルは綱吉に手を引かれて職員室を出た。

「あっ!
ツナさん廊下走っちゃ駄目ですよ?!」

「全くダメツナが」



ー保健室ー


清潔感の溢れた保健室、二人は洒落たティーカップで紅茶を飲んでいた。


一人は優雅に、一人は少し固くなりながら。

「それは面白いですね」

「そうですか?
僕は見て居られません」

「グイドは優しいですからね」

「っ、僕はそんな」

「クフフ。
ほら、噂をすればなんとやら。
彼らが来ました。
君は帰りなさい。
………レオくん」


ニッコリと美しい微笑を浮かべた骸に、レオナルドは頬を染めて出て行った。


「失礼しま」

「骸ーっ!」

ちょうどレオがドアを開けようとした時綱吉が勢いよく入って来た。

レオはドア綱吉が入って来る直前に気配を察してドアの横に間合いをとった。

綱吉は慌てていて気付かなかったが、バジルはそれに気付いた。

「リッピ殿?」

不思議そうにレオに視線を送るが、レオは黙って頭を下げて出て行った。


「…?」

「いらっしゃいバジル先生」


頭を傾げるバジルに保険医の骸が話しかける。

「初日から大変らしいですね」

「えっ、いえそんな」

骸は白い白衣を翻し、バジルの元へ歩み寄る。
そしてツイとバジルの顎を白い指を添える。


側からその姿を見た綱吉は思わず熱くなった胸を押さえた。

何この百合見たいな雰囲気…

骸が妖艶さを持つ美人で、バジルが純白さを感じさせる可愛らしい美少年なのでどちらも男を感じさせない二人が絡んでいるとまるで綱吉には百合の世界に見えた。

実際はただ列記とした男性保険医が、列記とした成年教師の傷を診察しているのだが。

ぺりりと骸は絆創膏をバジルの頬に貼る。

「沢田先生、貴方は次授業があるんじゃないですか?」

骸は若干顔赤くしてこちらを見ていた綱吉に苦笑しながら言う。

「あっ!
そうだった。
じゃあ先に行ってるね!
骸!バジルくんに変なことしないでね!」

「失礼な」

バタバタと騒がしく出て行った綱吉に骸は眉を寄せた。

言動も引っ掛かったが、何より清潔感を心掛けたこの部屋にほこりを散らすとは…

後で絶対啼かしてやる。

骸がそんな危ない決意を決めていた時バジルが立ち上がる。

「あの、ありがとうございました。
拙者もそろそろ職員室に戻りますね」

丁寧に頭を下げてお礼をしたバジルは、綱吉と同じ様にドアへと向かおうとする。

が、バジルの手が掴まれ、それを阻まれる。

バジルは困った顔でその掴んでいる手の先の骸を見る。

「……あの、先生?」

自分を掴んだまま何も言わない骸に、バジルは先程の綱吉の言動を思い出して少し警戒しながら骸の様子を伺う。

ふわり、と優しげな笑顔を見せた骸はそのままバジルの手を引いて再び椅子に座らせる。

「まず自己紹介しましょうか」

次いで言われた言葉にバジルは呆気に取られた。


「改めて始めまして、私立ボンゴレ学園専属保険医の六道 骸です」




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