歪みのリボーン
HR
バジルは初めて入る自分の教室に、緊張と期待を胸にドアを開いた。
「おはようございます皆さん!」
元気良く挨拶したバジルの目に写ったのは、凄まじい風景だった。
床、壁には下品な落書きが書かれ、ガムもこびりついている。
生徒は生徒会以外服装が制服なのか私服なのか分からない格好で、髪も全体で見るとまるでレインボーだ。
煙草を吸っている生徒がいるのか教室は煙りが立っている。
ごく○んか…
思わずそう突っ込みたくなる教室に、バジルは呆気にとられた。
が、
「へぇ、これが新しい第三校舎の先生?
綱吉も随分可愛らしいの連れて来たじゃん」
ティアラを頭に乗っけた生徒の声にバジルは我にかえった。
「はい!
拙者バジルともうします。
まだ教師となって間もない新人ですが、皆さんと共に頑張って行こうと思い<ガタンッ>……?」
話しの途中で、銀髪の髪の長い生徒が机を蹴った。
「う"お"おい!
話しなげえんだよクソチビがぁ」
そう怒鳴る。
「ちょっと、そんなバジル先生はまだ少ししか話して無いじゃないか」
正一が眼鏡を直しながら言う。
「黙れ眼鏡ぇっ」
バジルは周りの生徒たちを見渡す。
皆好き勝手にゲームをしたり喋ったりしていた。
(この子は拙者の話し、聞いてたんですね)
バジルはふんわり笑った。
「すいません。
入江殿ありがとうございます。
では手短に……」
バジルは持っていた出席表やその他の資料が入った大きなファイルを高く振り上げ…
<バァァァァアアン>
強く教卓を叩き付けた。
そのせいで教卓はみしりと音を立てる。
余りにも大きな音に、クラスの生徒たちが驚いた顔でバジルの方を見た。
「今日から担任になったバジルです。
皆さん、よろしく」
バジルは笑顔でもう一度自己紹介をした。
今度は皆バジルの話しが聞こえただろう。
白蘭が口笛を吹いた。
「やるねバジル先生」
「偉そうに…」
不細工な顔したツンツン頭が呟く。
「アイツは…」
目を細め、観察する様にバジルを見る顔に傷のある生徒。
静かになったのはほんの数分で、生徒たちはぎゃあぎゃあと騒ぎ出す。
それでもバジルはHRを続ける。
「では出席を取ります。
呼ばれたら返事を…」
バジルはクラス表に向いていた顔を上げた。
「何のマネですか?」
バジルの顔の真横、黒板にナイフが刺さった。
投げたのは顔に傷がある生徒…
ザンザスだった。
「あれ?
シシシ、ボス俺のナイフいつの間に取ったの〜」
「…………」
ベルが楽しそうに言うが、ザンザスは黙ってバジルを見つめていた。
バジルは可愛らしい顔を眉を吊り上げてザンザスを見返す。
「ザンザス殿ですね?
拙者何か気に触ることをしましたか?」
教室の騒ぎがまた治まる。
ザンザスはこの教室の不良たちのリーダーだ。
皆がザンザスの行動に注目する。
「……カスが…
テメェみたいな餓鬼に指図されるおぼえはねぇ…」
「ボス、素敵だ」
「「レビィキモい」」
ザンザスの話しに、バジルは困った顔をした。
「そんなこと言われても拙者姿を変えることは出来ないんで」
「…………」
「そう言うことじゃねぇだろ!」
スクアーロが突っ込みを入れた。
白蘭が噴き出す。
「はい、刃物は投げてはいけませんよ」
バジルは黒板に刺さったナイフを引っこ抜いてザンザスに差し出す。
「貴様、ボスを舐めているのか!!」
ザンザスの隣の席のレビィがバジルに拳を振りかざす。
「「バジル先生っ」」
正一とリッピが叫ぶ。
「レビィ殿、暴力はいけませんよ。
まして相手が大切な方の近くにいる時に攻撃する等言語道断です」
「なっ」
振りかぶった先にバジルは消えていた。
そして、勢いに乗ったレビィの拳はそのままザンザスに向う。
<パシッ>
ザンザスはその拳を顔の前で受け止める。
もしザンザスが拳を止めなかったら、顔面にパンチが入っていたところだ。
レビィは蒼白になる。
「す、す、すいませんボス!」
「カスが」
「がぁっ」
レビィはザンザスによって教室の端まで殴り飛ばされた。
「では出席取るので返事して下さい」
バジルはさっさと教卓に戻り、笑顔で出席を取った。
今迄の一連を見ていた生徒はバジルに名前を呼ばれたら大人しく返事をしていた。
「面白いねあの教師」
「そうね〜可愛いわね」
「そうかな?
なんか生意気で僕は気に食わない…
でも金になりそう」
「………」
「スクアーロはマジ惚れちゃった?」
「あ"あ?
んなわけねーだろ!」
「ボスはどう思う?」
「………バジル、か」
「これから拙者大丈夫でしょうか?
…いいえ、親方様からの初任務かならずや成し遂げて見せます!」
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