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ギアス夢物語
No.05「守りたい者」


「ユフィが助けたいのはスザク?ルルーシュ?」

「どっちもです!」

「いや、どっちもって…」

俺はユフィの話しに困惑した。

ユフィとはユーフェミアの愛称だ。

俺はこの異世界から来たと言うユフィの願いを聞くことにした。

初めてだったからだ。

自分を必要と言ってくれた人は…ー。

いや、まあその話しはいい。

今はユフィの話しだ。

俺は彼女から助けたい二人の人物の話しを聞いていた。

「でも二人は敵同士なんだろう?
その二人を両方助けるの?」

「二人は敵同士なんかじゃありません。
かけがえのない友達です」

ムッとした顔でユフィは言うが、話しを聞いている限り二人は敵同士だろう。

方やブリタニアと言う国の軍人。
方やその国に反発するテロリスト。

全く真逆な存在だ。

それに…ー。

「スザクを助ければいいじゃん。
ルルーシュのこと、嫌ってないの?」

だって話しによるとユフィは…ルルーシュに…。

こちらを見ていた紫が、反らされた。

まだ掴まれている俺の腕が強く握り締められた。

「それは…」

辛そうに眉を寄せたユフィに俺は罪悪感を感じた。

「ユフィ」

声を掛けると、ユフィは顔を上げた。
その顔には笑み。

「ルルーシュはね、本当はあんなことをするつもりは無かったの。
私は分かる。

あの時、ルルーシュは私と一緒に新しい世界を作ってくれるって言ってたの。

だから、あれはあの力のせい」

「その、ルルーシュが命令すればなんでも言うことを聞いちゃうって言う?」

俺には半信半疑な話しだ。

「ええ、あの力が無ければ…あんなことにはならなかった。
ルルーシュも被害者の一人なのです。

それに、私には敵とか関係無いんです。
皆が幸せになれる、平等な世界。
それが私の望みでしたから」

そう言ってユフィは目を伏せる。

「…そっか、分かった」

俺は腕を握っていたユフィの手を取る。

「ごめんな、辛いことを思い出させて」

ユフィの手は震えていた。

自分を殺した相手が、大切な人だった。

悪意が無かったにせよ、どんなに苦しく悲しいことだったろう。

ユフィは首を横に振る。

「いいえ、大丈夫です。
直哉に任すことは、とても難しいことだと思います。
貴方には知る権利がある」

「俺…何にも出来ないかもよ?」

だって俺は頭悪いし、運動だって出来ない。
おまけにドジで、弟には愚図と馬鹿にされる始末。

「そんなことありません。
先程も言いましたが、貴方しか出来ないんです。

あ、そろそろ私の世界に着きます」

そうユフィが言った時、今迄俺たちが居た白い世界に色彩が現れた。

波の様に様々な色が周りを囲い、少しずつ世界が見えて来る。

「じゃあ俺は、とりあえずアッシュホード学園ってところに行けばいいのか?」

「はい。
話しは通して貰ってます」

ユフィの姿が薄くなって行く。

「……なあ、ユフィ、その人信用出来るのか?

「今はあの人しか力を貸して貰えません」

風が俺の髪を撫でた。

「分かった、最後に聞いていい?」

ユフィは消えかかっていた瞳でこちらを見ていた。

「死んだユフィがどうしてこんな力を?」

「それは…」

ユフィの唇が動く、だが声が届く前にユフィは消えてしまった。


サクリ…

「ここが…ユフィが生きていた場所」

俺は草が生い茂る、この異世界の地にゆっくりと着地した。




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