a man with a double character
≒
『………来たね。』
屋上にはレギュラー、そして美乱が来ていた。
皆、私を睨んでいる。
「追い詰めたようだな、鳳。」
私が皆を待っていたとは知らない跡部がそう言った。
『バカだな…あの女。計画を崩したことで勝ち誇った顔をしてる。』
そうだね。
まだ、私達は負けてないのに。
私はゆっくりと跡部達を見た。
だけど、次の跡部の言葉で私は完全に唖然としてしまった。
「彗歌。お前今日も、俺達が来る前に美乱を殺そうとしたらしいな…。」
『は?』
私が美乱を殺そうと?
美乱を見るとこれまでにないくらいの怯えたフリをしていた。
「くそくそ!なんなんだよお前!!?」
逆だよ完全に。
『彗歌、僕と代わって。』
雛歌…。
『僕があいつらに一言言って…』
待って。
『彗歌?』
大丈夫、私がちゃんと言うから。
私がちゃんと皆に真実を言いたいから。
だから…
『……私がなんとかする。』
「はぁ?お前何言って…。」
私の呟きに意味がわからないと言う顔をしている皆を一別すると、息を吸い込んだ。
そして、ちゃんと言葉に出してハッキリいい放った。
『私は美乱を殺そうなんてしてない。美乱を殺す気もない。だって私は…。』
私はポケットに入れていたボイスレコーダーを出し、上に掲げた。
美乱はボイスレコーダーを見て、私が何をしようとしているのかを理解したらしい。
多分美乱はビデオカメラしか用意してないのだと思い込んでいたんだと思う。
すごくマズイと言う顔をしている。
だけど、もう遅い。
『無実から。』
そうハッキリ言い放つと同時にボイスレコーダーのスイッチを押した。
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