a man with a double character ≦ あのあとチャイムが鳴り暴力から解放された。 担任が来たとき一瞬驚かれたが言われた言葉は冷たかった。 「湖空、早く席に座りなさい。」 生徒を守るはずのしかも担任にまで見放された。 多分教師の間でも噂が広がったのだろう。 完璧に全校に嫌われた。 いや、全校を敵に回した。 私はヨロヨロと立ちあがり痛む身体を押さえながら席に着いた。 みんながクスクス笑って冷ややかな目で見てくる。 ああ、怖い。 私が何をしたというの? 私は先生の話しなんか頭にはいってこない。 ずっと、私は美乱について考えていた。 放課後になり部活に行く時間。 朝の雨はすぐにあがったのでコートは使えるくらい乾いている。 休み時間にクラスメートが何かと嫌がらせをしてきた。 地味な嫌がらせ。 だけど私にとってはキツイ嫌がらせ。 それを部活でもされるとなると部室に向かう足取りが重くなる。 だって、私の味方なんてどうせいないだろうから。 部室に着くと私をみんなが睨んでくる。 ああ、痛い。 みんなの視線が… 殺気の混ざった視線が… 美乱はもうすでに来ていた。 私を見るなりわざとらしく身体を震わす。 そして、悲劇のヒロインを演じていた。 「……彗歌…。」 「湖空テメェ。…また美乱を虐めやがって!!」 「クソクソ!美乱が泣いていたんだぞ!」 「……自分、最低やな。」 ここでも反応はクラスと同じ。 今いるメンバーは 跡部、忍足、向日そして宍戸と美乱。 私と宍戸と同じクラスのジローはきっとどこかで寝ているのであろう。 跡部は黙って睨んでくる。 それが逆に怖かった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |