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少し夏樹クンの表情が揺らいだのが気になったけれど、電車の到着に意識を奪われ、聞く機会を失ってしまった。



「ちょうどラッシュの時間だったね…」

電車の中は、サラリーマンが押し込まれた箱のようになっている。


いつもは混む時間を避けていたから、こんなの久しぶりだ。


「どぉする?

時間遅らそうか?」


心配そうに聞く夏樹クンの顔が蒼と重なり、胸がズキズキ疼き始める。


『私は平気だよ!


夏樹クンこそ大丈夫?

何かごめんね。』



あの後だから、本当は空いている電車に乗りたかった。


男の人の体に触れるのは怖いし、不安もある。



だけど、心配をかけたくはないから。



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