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過去拍手や短編
幼子恭ちゃん
雲雀SS


"幼子恭ちゃん"





僕は、非常に機嫌が悪い。
どれくらい悪いかというと…、そうだな。

コンビニの前に、柄が悪くて茶髪でチャラチャラしたものが耳にピカピカ、それで不潔にも襟足の長い輩が食べ物を食い散らかしてたむろしている…×100。

くらいかな。

まぁとにかく相当って事。


「…どういうことですか」

僕は自分でも驚くほど怒っているのに、
僕は自分でも驚くほど冷静だった。

怒りすぎで口調が変わっているのはご愛嬌。
悪いね。


「いや…、どういう事って言われても…、」

よく、分かりません…。


彼女も怯えつつだが、僕の異変に気付いていると思う。というか気付いてなかったらそいつの目は節穴だ。


ムシャクシャする。

何だって僕はこんなに、
こんなに、僕は…。


「何でちっちゃくなっちゃったのっ?」


ああもうイライラする。

何ですか、この手は!
ぷにぷにスベスベ?
もちもちぷっくり?

あああ何なんだ僕は!


朝起きていきなり、ベッドから(高くて)降りれなくなっちゃって、
パジャマぶかぶかで脱げちゃうし、
どうにか幼い手で携帯のボタンを押したのはいいけど声高すぎ!僕ソプラノじゃないんだけど!


不満は上げれば上げるだけ出てくる。


「でもいちばんのなやみは、きみをだきしめてあげられないことなんだっ!」

世界中の悲劇を嘆くように、僕は小さな手で丸い拳を作った。


「すいません、平仮名ばかりで何の事だか…」

サッパリ分かりません。


特に悪びれた様子もなく、彼女はハッキリ切り捨てた。ああごめん、平仮名ばっかりで………、

って何で!
僕は喋ってるんだよ!
筆談してる訳じゃない!


「どうしろっていうのぼくに!これじゃきみにきすすらできないよ…。」

世界中の絶望を一気に集めて放つように、僕は落胆の溜め息をついた。

彼女はやはり、たどたどしい僕の言葉が理解出来てないようだけど。
(別にいいんだ、馬鹿な子ほど可愛いから。)


「…でも、ぼくのからだをどうやってもどそう…?」

それだけが僕の心に引っ掛かって、君がいるのに幸せになれない。
なれやしないよ、ぐすん。

(…え、なに。僕泣いちゃった!?「ぐすん」!?)


茫然と途方に暮れる僕に、彼女はいつものお気楽さでこう言った。


「とりあえず、私が膝に乗せてぎゅうしてあげます!」

それで、どうですか!


自慢気に聞いてくれるのは嬉しいけど、
それじゃ何の解決にもならないよね。
むしろ子供に馴染んじゃったらどうするの。

と、思う反面、


「さっ、はやくどうぞ!
恭ちゃん!」


とんとんと膝を叩く君に、抱き締められたりするのも悪くない、かも。


――――――――……

思いっきり甘えちゃうよ?

――――――――――…

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