執事雲雀(完)
新学期!
さて、さて。
桜も大分落ち着きを見せ、新しい制服、新しい学校に胸トキめかせる人々たち。
いよいよ春本番となってきました!
―新学期、です!
「おはようございます!ちとせさん」
「あ、おはよう骸くん!」
新学期始まって一番に会った友達は、やっぱり骸くんでした。
いつになくヘアセットが念入りですね、葉っぱの部分が芸術的です。
「クフフッ、ちとせさんもいつにも増して可愛らしいですよ!」
骸くんはパリッとアイロンの当てられたワイシャツに、びしっと伸ばされたネクタイを綺麗に結んでる。
あのアイロンって、やっぱり専属のメイドさんが当ててるのかな。
(自分でやってたらちょっと格好いいかも。)
…私は骸くんに挨拶を終えたあと、雲雀の待つ大食堂に向かいました。
…骸くんは何故かあの日以来(※クリスティーン参照)、頻繁にうちに遊びに来るようになってます。
「…ちとせさん、あの、前に言ってた話って…」
骸くんが何か言い掛けたとき、運悪く食堂から出てきた彼と出くわしてしましました。
(いや、そうなるように仕向けたのは私ですが。)
「…デザートにしてやる」
「え、ちょっ、雲雀恭弥!君が包丁を持ってると冗談に見えませんよ!」
「冗談は嫌いだよ。」
「ちとせさん!け、警察を…っ、くふぁあっ!」
これは、毎朝恒例の行事のひとつです。気にしなくて構いません。
私はデザート狩りに行った雲雀を待ちつつ、朝食を摂ります。
今日はなんていい朝なんだろう、デザートの断末魔が聞こえないなんて。
いつもは大抵、遠ざかっていくデザートの声が聞こえるんですけどね。
(とうとうデザート狩りに成功したんだろうか?)
…でも心配する必要は一切ありません。
デザ…、骸くんは不死身です。
毎朝恒例の行事が終わって学校へ登校すると、
むく…、デザートは元気よく、普段通りの奇妙な笑いで私を迎えてくれるからです。血の跡ひとつ付いていません。
……私はオートミールを食べおわり、あつあつのスコーンにクリームとブルーベリージャムをたっぷり乗せていただきます。
(雲雀はいつも、本当にどうして男に生まれてきたんだろうと思う程、お菓子作りが上手なのです。)
「……ちとせ、」
ふいに名前を呼ばれ、
振り返れば彼の姿が。
「あ、おかえりなさ、」
言い掛けた途端、私は彼に抱き締められていました。
「どう、したの」
雲雀の不可解な行動に、首を傾げる他ありません。
「…ちとせは、僕が必要?」
いつもの彼とはうってかわって、弱々しい声の雲雀。
顔は抱き締められていて見えないものの、きっと声の雰囲気のとおり、自信なさげな表情をしているのでしょうか。
「急にどうしたの雲雀?」
「…僕は、ちとせが必要だよ。」
彼は顔をあげて、(ああ、やっぱり悲しそうな顔、して)私の顔に手を添えます。親指で唇をなぞられて、私までなんだか悲しくなります。
(一体、雲雀はどうしたんだろう。)
…彼の唇が、私の唇に重なって。
それは触れるだけのキスだったのに、彼の熱い体温からは、デザートとの戦いの激しさが伺えます。
(…なんて言いながら、本当はドキドキしすぎてまともな考えなんて出来ないんですけど。)
「ひばり…、」
私が彼の名前を呼ぶと、彼は私の前にひざまずきました。
雲雀は普段、そういった執事らしいことをしないので、私が彼を見下ろすという感覚に戸惑いを覚えます。
「ちとせ、僕は…」
―ピピピピピピッ。
「…あ」
「…………、」
彼の言葉が全て終わらぬうちに、学校へ行く時間が。
ロングテーブルに置かれた、たまご型のアラームが鳴ってしまいました。
「…ごめん、何?雲雀」
時間が来てしまったけれど、まぁ数分なら大丈夫だろうと、彼に続きを促します。
「……いや、やっぱりいいよ」
しかし彼は続きを言いません。
「えー、気になるじゃん」
ぷぅと頬を膨らませると、彼はクスリと笑って、
私の手の甲にキスを落とします。(いつもはそんなこと、しないくせに…)
「学校、いこう」
「…ん、はーい…」
――――――――………
準備は、できてたのに。
continue…
はい、ね。
大変ですね、ええ。
雲雀くん大変なことになってます。
原型留めてません。
崩壊です。
ごめんなさいm(__)m
ではまた次回!
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