執事雲雀(完)
睡眠中と南国果実
たとえば目が覚めて。
たとえば目を開いたら。
…パイナポーが真正面にあるのってどうなんですか。
「クフフフフ」
「……。」
何故パイナップルが人間に逆襲を?
私はすかさず隠し持った赤いボタンを押す。(我が家自慢の防犯システムー)
……天井のタイルの一枚が外れ、呼ばれて飛び出て咬み殺す!
雲雀くんの登場です。
「…変態果実の殲滅。」
我が家の雲雀はかなりの低血圧。
朝から呼ばれて、すでに苛々はピーク超えてます。
「クフッ、雲雀恭弥は芸がないですねぇ」
敵に身を隠さずノコノコ出てくるとは……。君はもうミカンではなくクリボーですね!
……とか何とか。
骸くんはなにやら調子ブッこいてますが、ハッキリいいます寝起きの雲雀は最悪だからね!今のうちだぞ!逃げるのは!
「だいたい僕は果実ではなくフルーt…」
「おはよう、そして永遠におやすみ。」
骸くんが変なコダワリを披露している最中に、骸くんは私の上から消えました。
……否、
横に飛びました。
なんか血飛沫落ちてきましたけどちょっと。
ネグリジェ汚れたし!
何でだよお前パイナップルだろ果汁出せバカ!
…とか何とか。
思ってるうちに骸くんは、我が家の最強執事にて殲滅されました。
パイナップルの残骸はメイドの田中さんによって始末されました。
「ありがとう、雲雀」
「ん、……ねむい、よ」
骸くんを殲滅して、任務を全うした彼は、フラフラとトンファーをしまう。
雲雀は朝にとっても弱い。
執事たるもの、朝から主人のために朝食を用意するものなんだけどね。
まぁいいんだ、雲雀だし。
「…ここで寝かせてよ」
パイナップルも消えたんだしさ。
…彼はそういうと、私ひとりには大きすぎるキングサイズのベッドに倒れこんだ。
「えー…」
一応抗議の声を上げるも、彼にひと睨みされれば造作もない。布団を広げて待つより他ないね。
朝の彼は、本当に危ないのだから。
雲雀はもそもそと布団にもぐり込んで、猫のようにキュウッと身体を縮める。
「…ちとせ、さむい」
彼のお気に入りの燕尾服にシワが出来てしまいそう。
まだ春休み。
寝てはいけない理由なんてないんだから。
「…もう一回寝るか…、」
私も布団に顔をうずめて、もぐり込んだ雲雀を覗き込む。
……こうしてたら、
私たちは普通のカップルみたいなんだけどな。
…お互いにお互い、きっと立場を知ってるんだ。
たぶん、その先の運命も。
きっときっと。
きっと賢い彼も知ってる。
私が同じ事を考えたように、彼もまた。
……ただ漠然と、
私たちの前には大きな壁があるんだって、
今は、考えたくない。
「…ねぇ、雲雀」
「………。」
「あ、寝ちゃったか…」
「…………。」
「……………。」
「…………。」
「…きょう、や」
一度、ほんとに一度。
つい出来心で呼んでみた。
…そういえば、雲雀のこと、名前で呼んだことなかったなぁ。
「…ぅゎぁ、照れる…」
私は意味なく鼻先を押さえて、雲雀がちゃんと寝ていることを確認した。
……大丈夫、寝てる。
それに安心すると、今度は睡魔が襲ってきた。
雲雀が握り締めた拳に、私もそっと手を上に置いてみる。
「……おやすみ、雲雀」
桜の花が、咲いた日の朝。
私と雲雀は、二人で丸まって眠りました。
…今だけは、いい夢が見ていたい。
お互いに、願いながら。
―――――――――……
…僕が寝たときに限って、名前で呼ぶなんて。
continue…
たは!
タハ---(ノ∀`汗)---ッ!
やばいすね、やばいすね!
駄文度upしてますね!
ではまた次回!
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