ファンタの味 第4話 屋上へと繋がる重い鉄の扉を開くと風が吹き込み、リョーマの髪の毛がフワリと揺れた そんな事を本人は全くもって気に止めず、フェンスの方へと進み街並みを見つめると ふぅ と1つ溜め息をつく。 それに続くように手塚もフェンスの方へ歩むとリョーマの隣に並ぶ。 二人はそのままでチャイムが鳴り終わるのを待った 暫くすればチャイムの放送は小さな プツッ という音と共に鳴り終わった。そしてそれと同時にリョーマが真っ直ぐ前を見つめたまま口を開く 「生徒会長が授業…サボっていいんスか?」 「構わん」 手塚もリョーマに目もくれずぶっきらぼうに言葉を返す そして訪れる沈黙 心地好くなんてない けど居づらい訳でもない そんな沈黙だった 5分位…だろうか 手塚が何もいってこないリョーマに痺をきらしたのは 別に気が短いという訳ではない。寧ろ手塚は気が長い方だろう しかし今は1校時をサボっている身 罪悪感を感じたんだろう そんな手塚の思いを知ってか知らずか、リョーマは一口に口を開こうとしない。 ― 様子がおかしい…? 手塚がそう思うのも無理はない。 普段のリョーマは思いを伝えるのがストレート過ぎる位なのに、今日はそのストレートどころか何か言いづらそうにしている感じだ。 けどリョーマとて手塚を呼んだきた身 これ以上ジラせば手塚にも迷惑だと察してやっとこさ口を開いた。 「暫く……部活を休ませて下さい」 「…何故だ」 思いもよらぬ言葉がリョーマの口から飛び出してきて手塚も理由を聞かずにはいられなかった。 しかしまたリョーマは黙りこんでしまう始末 ― 部活をって事は部内で何かあったか? それにしてもちょっとやそっとでくじける様な奴でもない… 手塚も今まで何かが起こっていたかを考えてはみるものの手塚の記憶内に居るリョーマはいつも部活に一生懸命で必死にボールを追っている姿しかなく、何があったのかなんてわからないに等かった でもリョーマの様子から察するに何かがあったのは確かで、何かが起こったのは最後にみた土曜日の午後から今朝までの間と容易に推測できた しかし結局は個人の事…これ以上勝手な推測は悪いと思い、推測は止めた。 「ならば質問を変えよう、土曜の午後から今朝まで……何があった」 そんな手塚の時間が絞られた質問に驚きリョーマは手塚の方を バッ と見上げた。手塚と目が合うとリョーマは苦しそうに苦笑を漏らし ボソリ と呟く 「日曜に……桃先輩と…ちょっと……」 「桃城か」 そーいえばお前達は付き合っていたな と言葉を付け加えると手塚は深い溜め息をつく 「やっぱ…駄目ですか?」 手塚の溜め息を聞いたリョーマは恐る恐る手塚に問うた。 ― 越前をここまでしたんだ、何かキツイ事が越前と桃城に起こったんだろう ― ならば今朝の無断欠席ともつじつまが合うしな ― 無理に部活に出させれば周りの士気にも関わりかねん… 手塚は脳内でそうまとめるとリョーマを見つめ 許可しよう と一言言った。 その時、リョーマが安堵の溜め息を漏らしたのを手塚は見逃さなかった 刹那――…… 一瞬 一瞬だけ、見えてしまった リョーマの瞳にうつった 迷 い 戸 惑 い 不 安 悲 し み 辛 さ 絶 望 そして 弱さが…… 「越前――…」 「…ぇ……」 次の瞬間には手塚自身、思いもよらぬ行動に出てしまっていた――…… 後書き 今回……もしや一番長いか?なんて言えるかも… 手塚とリョーマの会話… 次回まで引っ張るか次回からはまたひにちを変えて回想シーンとして出すか…… 悩みどころだ 08/02/16 [*前へ][次へ#] [戻る] |