ファンタの味
第3話
“顔も見たくない”
そんなちっぽけな言葉だけど
心には深く深く染みてくるんだ
「おい越前、なんで朝部活来なかったんだよ!!」
― うるさいな
翌日リョーマは部活をサボり、同じクラスの堀尾にSHRが終わると同時に捕まってしまった。
部活に出なかったのは別に寝坊したからという訳ではない。寧ろ今朝は何時もより早く起きすぎた方だ
それでも部活に行かなかったのは…?
桃城が迎えに来なかったから?
それとも顔も見たくないなんて言われたばかりだから?
答えるならば両方ともyes
朝、もしかしたら桃城がいつものように迎えに来てくれるかもと思って待ってた自分がいたし、何がなんでも部活には行きたくないという自分もいた。
「別に…寝坊しただけだよ」
「まっ、そんなんだろうと思ったぜ〜
さっすが遅刻常習犯だな」
「堀尾うるさい」
笑いを含めながら言う堀尾に少々イライラを覚えつつ席を立ち上がり、1校時が始まるまで時間があることを確認してから教室を出た
後ろから堀尾が声を上げたがとっとと教室からでていったリョーマには届くことなく、虚しくクラスのザワツキにかき消されてしまった。
「あの…」
リョーマは自分の教室をでると3-1の教室に向かった……筈だったのだが、リョーマは1年生、1年が3年の廊下付近に訪れたということだけでも珍しいのにその訪問者があのテニス部で有名な越前リョーマとなれば廊下はパニック状態
女子達がリョーマに群がり1歩も動けない状態になっていた。
流石にこれはヤバいだろと思ったリョーマは退いてくれる様に声をかけてはみたもののその多大なる女子共の人数にリョーマ1人の声は簡単にかき消されてしまう。こうなってはコイツ等に声をあらげなければいけないな…と判断したリョーマは仕方なく大きく息を吸い込んだ。
刹那――、リョーマの後方から聞き覚えのある声が聞こえてくる
「煩いぞ、授業も後少しで始まる。教室に戻るんだ」
「ぁ……」
「ん?何だ、越前か」
その声の持ち主はテニス部部長であり生徒会長をも務めている手塚国光だった
そんな手塚の気迫のこもった一喝に廊下にいた輩の大部分が自分の教室へと戻っていき、その場はリョーマと手塚二人きりとも言えるような状態になった。
08/02/14
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