蒼穹綺譚
1
貴方に逢えてほんとに良かった。
たとえ、離れ離れになる宿命でも…
貴方と過ごせたこの時間は、
確かに幸せでした。
†Lost Shine†
私の愛した人は、冬の湖畔のような…澄んだ瞳をしたヒト。
彼とは、しばらく逢っていない。いや…、正しくは逢いにいけない。
彼なら…私の異変に気付いてしまうかもしれないから…。
…喉が熱い…
うっ…と、迫上がって来る痛みと熱さに、眩暈を覚える。窓に手を付いて外を眺めていたが、遮光カーテンを掴んだまま、しゃがみ込んでしまった。
「ごほっ…ごほっ……けほっ…。」
耐えられなくなって、咳き込んだ時に押さえた手は、明らかに朱に染まっていた。間隔が徐々に短くなっているのを…痛む頭の隅で認識していた。
偶然通り掛かった看護師が、慌てて駆け付けて来る。何かを叫んでいたが、そこで私の意識は途切れた。
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