君が好きだから無敵
4
「もうっロンの馬鹿!!クラリスじゃないことくらい分かりきってたじゃない!」
「だってあいつが僕らばっかり責めるから……っ」
ギャーギャー騒ぎ出した2人をクラリスは戸惑い気味に眺める。
また彼女に助けられちゃった……
クラリスはとても大きな感謝とほんの小さな恥ずかしさを感じていた。
「あの……僕の友達がごめんね、クラリス」
「え?……ああうん……平気だよ……」
ハリーに言われてクラリスが歯切れ悪く返した。
「クラリス!!」
バタバタと足音が聞こえドラコがクラリスのもとに駆け寄ってくる。
その後ろからはアギも追いかけてきていた。
「大丈夫か」
「うん、もう落ち着いたよ……」
酷く不安げなドラコにクラリスが小さく微笑む。
ドラコはハリー達を睨みつけるとクラリスの腕を引っ張って速やかに寮へと戻っていった。
「災難だったな……あんま気にするなよ」
「うん」
アギの言葉にクラリスが笑って頷いた。
「あの部屋で何があったんだ」
別れたときはあんなに怯えていたのに、スネイプ先生がそんなに優しくしてくれたのだろうかとドラコは穏やかな様子のクラリスに尋ねた。
クラリスはパッと笑みを浮かべて嬉しそうにハーマイオニーとハリーが庇ってくれたことを話す。
クラリスの話を聞きながら、ドラコの機嫌が見る見る悪くなっていくのをアギは肌で感じていた。
「……クラリス、もういい」
冷たい声でドラコが告げた。
クラリスがハッと笑みを崩した。
「ドラコはあの人が嫌いなんだっけ……」
ようやくドラコの苛立ちに気がついたようだ。
クラリスはそんな彼の様子に悲しげに眉を下げた。
「……ドラコは……僕が汚れた血だったら同じように毛嫌うの?」
「…………」
ドラコは答えない。
気まずそうに二人を見渡すアギにも構わないでクラリスが言葉を続けた。
「僕はたとえドラコがマグルでも大好きだよ。だってどんな血だってドラコはドラコだもん。
あの人だって………純血じゃなくたって彼女は優しいよ…っ」
「っクラリス、いい加減にしろっ!」
ドラコが声を張り上げグッとクラリスの肩に掴みかかった。
「もう汚れた血に関わるな!
性格がどうじゃない、あいつ等は根本から呪われている!
……お前だって母君を悲しませたくないだろう」
ドラコはそうだけ言い残し、自分を止めようとしていたアギを押しのけて部屋へと戻って行った。
クラリスの母親はマグルを、汚れた血を嫌う。
クラリスもそれをよく知っていた。
「……呪いってなに?
彼女が僕達に何をするって言うの……?」
ぽつりとクラリスが呟く。
アギは何も言わずにポンとクラリスの頭に手を置いた。
しばらくして2人も自室へと戻って行く。
「……質の悪いお兄様だな」
意地か嫉妬か、どちらにせよドラコはクラリスとハリー達の接触を許さないだろう。
クラリスは納得のいかない面持ちで目を伏せている。
やがて何かを押し込めるにグッと目をつぶったクラリスの姿を、アギは何とも言えない面もちで眺めていた。
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