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君が好きだから無敵
忙しない朝



「……朝食まで30分もないが」

「すっすみませ……っ」



ハロウィン翌日、クラリスは寝不足が祟り、また罰則が延長したことがすっかり頭から抜け、初っ端から遅刻してしまった。

ゼェハァと息を乱すクラリスを冷たい目で見下ろすスネイプ。
これ見よがしにため息をつくとクラリスを鍋の前に引っ張っていった。


「これの中身を均等に全てのビーカーに入れたまえ。ちょうど半分まで入れれば余らずに注げるはずだ」

「は〜い……」


クラリスは指示通りに薬をビーカーに入れ始める。
結構な量があり、食事の時間が削られるであろう事が想像できた。

……僕がいなかったら全部一人でやってたのかな……


別の場所で鍋を掻き回すスネイプの姿を眺め、クラリスは教師という仕事の大変さをほんのりと実感する。
クラリスはスネイプの手伝いが出来ることに次第に喜びを見いだし始めていた。










クラリスの鍋の中身も残り少なくなってきた。


あと10分もあれば終わるかな……

順調に仕事を続けるクラリス。
ふと顔をあげると、難しい顔でこちらを見ていたスネイプと視線が交わった。


「どうかしました?」

「いや……」


一言そう呟き顔を背けたスネイプ。
クラリスは不思議そうに首を傾げると再び薬瓶に視線を戻した。



「……もうそれまででいい。食事に向かえ」


ポツリとスネイプが言った。
まだ手元の鍋には薬が少し残っている。
クラリスはきょとんと目を瞬かせたが、スネイプの言葉が自分を気遣ってのものだと理解するとパッと明るく笑った。


「もうすぐで終わるから大丈夫ですよ。ご飯の時間には間に合います」

「……スリザリン生が食事をがっついたとなれば寮監の面目が潰れる。今からいって静かに食べろ」


ぶっきらぼうにそう告げるスネイプ。
クラリスはその言葉を受けて困ったように笑った。


「じゃあスネイプ先生も一緒に行きましょうよ」

「何……?」

「だ、だって先生いつも仕事してません……?ちゃんとご飯食べれてますか……?」


グッと眉を顰めたスネイプにクラリスは久々にビクついて声を弱々しくさせた。


「忙しいなら僕が手伝いますから……先生もしっかりご飯食べてください」


スネイプは無言でクラリスに背を向けた。


「何をしている、早く手を洗え……広間に行くぞ」

「っはい!」


スネイプからの是の声にクラリスは嬉しそうに返事をしてその背中を追った。




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あきゅろす。
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