君が好きだから無敵
ナメクジ
「クラリス、明日8時から練習があるんだ。よかったら見に来ないか?」
夕食の席でドラコが言った。
クラリスがパッと目を輝かせる。
「わあ!行く!
ドラコが練習してるとこ見たい!」
「それ俺も行きたい!」
「アギ。朝起きれるの?」
嬉々として名乗り出たアギにクラリスはジト目で尋ねる。
「……起こしてくれるなら」
「君は起こしてもちっとも起きないだろ!」
頭をかいて答えたアギにジャックが食ってかかる。
寝起きの悪いアギを起こすのはクラリスとジャックの朝の一仕事になっていた。
ドラコは呆れたようにアギを睨む。
「クラリスに面倒をかけるなよスレイダ。朝の練習には来るな」
「わかったよ……」
仕方ない、とアギはため息をついた。
どうしてそこで朝起きる努力をせずに引くのかと、クラリスとジャックはあきれた目でアギを見た。
「……あれ?」
翌朝、クラリスがドラコにくっついてスリザリンチームと共に球技場に行くと、違う色のユニホームを着た、色からしてグリフィンドールのチームであろう人達が怒ったようにこちらに近づいてきた。
「フリント!今は我々の使用時間だ。
今すぐ立ち去ってもらおう」
「今から俺たちが使わせてもらうぞ。こっちにはスネイプ先生が特別にサインしてくれた許可証がある」
そう言ってフリントはメモを見せびらかした。
「……新しいシーカー?どこに?」
ドラコがスッと前に進み出て、グリフィンドールの視線がみんなドラコに注がれる。
「ルシウス・マルフォイの息子じゃないか」
フレッドが苦々しく言うとドラコは不適に笑う。
「それだけじゃない……」
ドラコに促されみんなが視線を移す。
「ニンバス2001だ!どうしてそれを……」
「ドラコの父上がくれたのさ」
「誰かさんとは蓄えが違うからね」
見下したドラコの言葉にハーマイオニーが鋭く返した。
「グリフィンドールの選手はみんな才能で選手になったのよ」
「誰もおまえの意見なんか求めていないぞ、生まれそこないの『汚れた血』め」
「!!」
「ちょっとドラコっ」
ふん、と鼻で笑うドラコに一瞬空気がぴたりと固まり、そして爆発した。
ハーマイオニーの隣にいたロンがドラコへ向かって杖を突き立てる。
「よくも言ったな、ナメクジ食らえっ!」
「ドラコ!!」
クラリスがドラコを魔法から庇おうと飛び出した。
だが次の瞬間、倒れていたのは魔法を使った本人だった。
慌てて駆け寄るグリフィンドールの後ろでスリザリンから失笑が飛ぶ。
ナメクジを吐きながら運ばれていくロンをクラリスは苦々しい表情で見送った。
「もう……何でそんなに口が悪いかな……」
「僕じゃないだろう、あいつの生まれが悪いんだ。あとあの貧乏人の魔法の腕がな」
くくっと笑うマルフォイにスリザリンの一段も笑いをこぼす。
「何言ってるの、ドラコが悪いんでしょ!あんな馬鹿にした態度とって……」
「お前は本当に頭が固いな……」
これまた馬鹿にしたように言われ、クラリスはとうとう声を張り上げた。
「いい加減にしてよ!あんな意地悪なこと言って何で平気な顔してるわけ!?」
「わかったわかった、落ち着けよクラリス」
「わかってないよ!そんな態度ばっか取るから……」
「クラリスーッ!」
大声で呼ばれ、興奮気味にドラコに突っかかっていたクラリスはそちらを振り向いた。
「助けてくれ、ジキルとアカネが手に負えないんだ……。アギも起きないし……」
「……わかった」
「おいクラリス、まだ練習が……」
ドラコが驚いてクラリスを引き留める。
「意地悪ドラコなんて知らない」
クラリスはドラコをばっさり両断するとそのままジャックを連れて行ってしまった。
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