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君が好きだから無敵
2



「おやクラリス、まだ読み終わらないかい?」

「ごめんなさい先生。僕文字を読むのがものすごく遅いんです」



困ったような笑顔で尋ねるロックハートにクラリスは申し訳なさそうに答える。……まあ嘘なのだが。


このままサプライズとやらを潰してやろうと目論むクラリスに、アカネとジキルはニヤニヤと悪い笑みを浮かべアギとジャックは何か起きやしないかとヒヤヒヤしながら様子を窺っている。



「仕方ありませんね、特別に私が音読してあげましょう」

「え……?」

「遠慮しないで。なんたって他でもないクラリスのためだからね!」


ハキハキとした声音で教科書を読み上げるロックハート。

クラリスは時間を確認した。
……駄目だ……



「……はい!そういうわけで皆さん、お待たせしました!」


パタンと教科書を閉じてロックハートが声を張り上げる。

……ごめんねジャック、止められなかったよ……。

クラリスは頭痛に耐える友人に同情の視線を送った。



「トロールととろい旅ということで……」

「は!?まさかトロールを……!?」


アギがぎょっと目を見開いてガタリと椅子から飛び上がる。
クラリスとジャックは互いに手を握りあって顔を真っ青にして震えていた。


「まさか!皆さんはトロールの醜い姿には耐えられないでしょう?……ご覧なさい!」



パッとどこからともなくロックハートが取り出したのは……




「……なんだこれ」

「勇ましいでしょう?トロールを倒した時の私の姿を撮ったものです。
さあみなさん、ご褒美ですよ!
順番に受け取って……押さない、慌てないで……ちゃんと人数分用意してるからね」



ロックハートが取り出した写真に、クラリスとジャックは手を取り合ったまま硬直した。

嬉々として列を作る女子生徒の姿を見て、アギは深々ため息をついたのだった。




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