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120.ユニ降臨 **


「話を戻します。私は、ミルフィオーレファミリー・ブラックスペルのボスとして、ボンゴレとの再戦に――賛成です」



それは、白蘭と入江さんとの約束が、本当にあったからだと彼女は語る。



「…元気一杯になってくれたのは嬉しいんだけど、ユニチャン。僕の決断に君が口出しをする権利はないよ。僕が迷った時は相談をするけど、君はあくまでナンバー2だ」



そんなユニの言葉に対し、全ての最終決定は自分にあると反論した白蘭。

ユニはふっと瞼を伏せ「…そうですね」と返答。
けれど彼女が再び青い瞳を開いた時、ユニは驚くべき事を口にしたのだ。



「――では私は、私はミルフィオーレファミリーを…脱会します!」



その場の誰もが、彼女の台詞に言葉を失った。
沈黙が辺りを包む中、ユニは胸の前で両手を組み、沢田さんを振り返る。



「沢田綱吉さん。お願いがあります」

「え!!お、お願い!!??」

「私を――」



“私を守って下さい”



「ええー!!!!ま、守るって、君、ブラックスペルのボスなんじゃあ!?」



途端に慌て出す沢田さんに、ユニは「私だけではありません」と告げ、そして、掌に何かを乗せて私達に見せてくれたの。

彼女が持っていたのは、



「この、仲間のおしゃぶりと共に―…」



奪われた筈の、アルコバレーノのおしゃぶり。



「あれあれ〜?勝手に持ち出しちゃダメじゃない、ユニチャン。それは僕の7コレクションだ」

「違います。これは私が預かったものです。それに貴方が持っていても7とは言えません」



ユニがスッと瞳を閉じた瞬間、色を無くした4つのおしゃぶり達が、眩い光りを放ち始める。
しかし、光り始めたのはそれだけではなくて、



「な、に」



何故か私の身体までもが、その光りに共鳴するように輝き出したのだ。



(…でも不思議。凄く……懐かしい感じがする)



最も光りの強い、胸の部分に右手を添えて、私はそっと瞼を閉じた。



「何故なら、おしゃぶりは魂なくしては存在意義を示さないのです。そしてその魂こそが、主――歌姫様を想う、強い心」



スー…と光りが消えて行くのが、感覚で分かる。

私はゆっくりと瞼を開け、少女の瞳を見つめた。
対するユニも私を真っ直ぐに見つめ返していて。



「肉体が消滅し、主である名前様と引き離された今のおしゃぶり(魂)に、存在意義はありません。だから、このおしゃぶりを貴方が持っていても何の意味も持たないし、7とは言えないのです」


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