「話を戻します。私は、ミルフィオーレファミリー・ブラックスペルのボスとして、ボンゴレとの再戦に――賛成です」
それは、白蘭と入江さんとの約束が、本当にあったからだと彼女は語る。
「…元気一杯になってくれたのは嬉しいんだけど、ユニチャン。僕の決断に君が口出しをする権利はないよ。僕が迷った時は相談をするけど、君はあくまでナンバー2だ」
そんなユニの言葉に対し、全ての最終決定は自分にあると反論した白蘭。
ユニはふっと瞼を伏せ「…そうですね」と返答。
けれど彼女が再び青い瞳を開いた時、ユニは驚くべき事を口にしたのだ。
「――では私は、私はミルフィオーレファミリーを…脱会します!」
その場の誰もが、彼女の台詞に言葉を失った。
沈黙が辺りを包む中、ユニは胸の前で両手を組み、沢田さんを振り返る。
「沢田綱吉さん。お願いがあります」
「え!!お、お願い!!??」
「私を――」
“私を守って下さい”
「ええー!!!!ま、守るって、君、ブラックスペルのボスなんじゃあ!?」
途端に慌て出す沢田さんに、ユニは「私だけではありません」と告げ、そして、掌に何かを乗せて私達に見せてくれたの。
彼女が持っていたのは、
「この、仲間のおしゃぶりと共に―…」
奪われた筈の、アルコバレーノのおしゃぶり。
「あれあれ〜?勝手に持ち出しちゃダメじゃない、ユニチャン。それは僕の73コレクションだ」
「違います。これは私が預かったものです。それに貴方が持っていても73とは言えません」
ユニがスッと瞳を閉じた瞬間、色を無くした4つのおしゃぶり達が、眩い光りを放ち始める。
しかし、光り始めたのはそれだけではなくて、
「な、に」
何故か私の身体までもが、その光りに共鳴するように輝き出したのだ。
(…でも不思議。凄く……懐かしい感じがする)
最も光りの強い、胸の部分に右手を添えて、私はそっと瞼を閉じた。
「何故なら、おしゃぶりは魂なくしては存在意義を示さないのです。そしてその魂こそが、主――歌姫様を想う、強い心」
スー…と光りが消えて行くのが、感覚で分かる。
私はゆっくりと瞼を開け、少女の瞳を見つめた。
対するユニも私を真っ直ぐに見つめ返していて。
「肉体が消滅し、主である名前様と引き離された今のおしゃぶり(魂)に、存在意義はありません。だから、このおしゃぶりを貴方が持っていても何の意味も持たないし、73とは言えないのです」
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