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120.ユニ降臨


突如、目の前に現れた、大空のおしゃぶりを持つ、ユニと言う名の少女。



「どうして貴女が…オレンジ色のおしゃぶりを」



そんな少女の登場に、私の頭は…混乱していた。

それは大分前に、この時代のアルコバレーノ達から『大空は欠番状態』だと聞かされていたから。

なのに今、目の前に大空のおしゃぶりを持つ少女が現れて。これは一体?



「長らくお側を離れて申し訳ありません、歌姫様。大空のアルコバレーノ・ユニ。ただ今、主様の元に戻って参りました」

「あ、あの…」



もう何が何だか訳が分からない。誰かに説明を求めようにも、此処には私同様、錯乱状態の仲間達ばかりで、説明を求めるなんて、夢のまた夢だ。

――となれば、彼女自身に訊ねるしかない訳で。
どうにか自分の頭を整理して、彼女に疑問をぶつけてみようと私が重い口を開きかけた、その時。



「ハハハッ」



何故か白蘭が、可笑しそうに笑い始めたのだ。



「これは一本取られたよ。いやあ、ビックリしたな〜。すっかり顔色も良くなっちゃって。……元気を取り戻したみたいだね、ユニチャン♪」



白蘭の話を聞き、また新たな疑問が生まれる。
まるで、具合を悪くしていたような言い方だ。

笹川さんも同じ疑問を感じたらしく、何気なく入江さんに真意を問えば、彼は「違うよ」と否定。



「彼女は、ユニさんは白蘭さんの手によって“魂を壊されて”いたんだ」

「――え?」

「人聞きの悪い事いうなよ、正チャン。名前チャンが誤解するだろ?……僕はユニチャンが恐がりだから、ちょっと落ち着かせていただけだよ」

「いいや!貴方はブラックスペルの前進であるジッリョネロファミリーのボスだったユニとの会談の時、全ての指揮権を手に入れる為、彼女の感情を消滅させたんだ!!」

「感情を…消滅?」



それはつまり、彼女自身が自分の意志で動いたり、話をしたり出来なくさせられたと言う事で。



「あんまりです!!」

「酷い」



ハルさんと京子さんから非難の声が上がる。
けれど、当のユニちゃんは大丈夫ですと微笑み、



「その間、私の魂はずっと“遠くへ避難”していたので、無事でした」



そして、白蘭へと向き直り、彼女はこう告げた。



「白蘭。貴方と同じように、私も他の世界(異世界)へ飛べるようです」



他の世界へ飛べる。それが何を意味するのか、私にも直ぐに理解する事が出来た。つまりそれは、彼女も白蘭と同じ能力を持っていると言う事だ。


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あきゅろす。
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