「ち、調子に乗んじゃねぇ!!オレはただ10代目っ…そう!10代目が心配されると思ってだな///」
「つまり、気にして下さったのですよね?」
「っっ/////」
「ありがとうございます、獄寺さん」
自然と表情が綻ぶ。そんな私を見た獄寺さんは一瞬何かを口にし掛け、グッと唇を噛み締めた後、ハァと溜息を零した。
「アホらし」
「獄寺さん?」
「何かてめぇの事を気にするだけ無駄な気がして来た。止めだ、止めだ」
まるで『降参だ』とでも言うように、両手を上げる獄寺さんを、私は不思議そうに見つめる。
「にょおん」
そんな時だ。足下から何やら可愛らしい鳴き声が聞こえて来た。驚き、視線を落とすと目の前には、行儀良くお座りをして待つ……子猫の姿が。
「にょお〜ん」
長い尻尾をユラユラ揺らし、『構って、構って♪』とでも言いたげな、瞑らな瞳が私を見上げる。
「Σなっ、瓜ぃ!!!」
そんな子猫を抱き上げたのは獄寺さんだった。しかも今『瓜』と名前のようなモノを呼んだ気が…。それにこの子猫。良く見ると、耳から死ぬ気の炎を放出している。
「もしかして獄寺さんの匣アニマルですか?」
「ん?…嗚呼、お前は初めて見るんだったな」
「はい。そうです。瓜ちゃんと言うのですか」
獄寺さんに抱き上げられた瓜ちゃんを覗き込む。可愛らしいな。触っても嫌がられないかな…何て考えていた矢先の事。
「シャーッッ」
突然、瓜ちゃんが暴れ出したのだ。腕を引っかかれて、咄嗟に手を離す獄寺さん。その隙を突いて、何故か瓜ちゃんは私の胸に飛び込んで来る。
「瓜ぃい!!!」
「にょお〜〜〜ん♪」
怒鳴る獄寺さんと、それを無視して私の胸に顔を擦り寄せる瓜ちゃん。
私はふふと笑みを零しながら瓜ちゃんの頭に手を伸ばした。嫌がられるかと思ったのだが、予想に反し、瓜ちゃんは気持ちよさそうに喉を鳴らす。
「人懐っこいですね」
「まあな。オレには全っっ然懐かねぇけど…。…でも瓜が此処まで懐いたの、お前が初めてだ」
「そう、何ですか?」
私は腕の中の瓜ちゃんを見つめる。その視線に気付いたのか、瓜ちゃんが顔を上げ「にょおん」と甘えた声を出す。それはまるで『もっと撫でて』と促しているみたい。
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