それからあっという間に時間は流れ、明日はいよいよ“作戦実行日”。
今日は雲雀さんのアジトで年長者だけによる最後のミーティングが行われる事になっているらしいが、作戦に参加しない私は控えた方が良いだろうと遠慮する事にした。
…と、言うのはちょっとした言い訳。本当は明日の作戦前にどうしても解決して置かなければならない“問題”があったのだ。私はその問題に立ち向かう為、ズンズン廊下を突き進む。進んだ先で発見した目的の人物。
私は息を吸い込み、
「獄寺さん!!!」
相手の名を呼んだ。
ビクリと肩が揺れ、獄寺さんが振り返る。瞬間、驚いたように見開かれる瞳。そう。私が解決したかった問題とは……獄寺さんとの事だった。
『触んな!!!』
あの一件以来、彼とは正面に話をしていない。と言うより、獄寺さんが話をさせてくれなかった。避けられてるのは分かっていたし、修行の妨げになってはいけないからと私も今日まで遠慮していたが、もう限界だ。
「今日こそは絶対に話を聞いて頂きますっ」
こんな状態のまま、彼を送り出すのは嫌だから。
「…話す事なんて何もねぇって言ってるだろ」
「獄寺さんに無くても私にはありますっ」
ズンズンと早足で進んで行く獄寺さんを懸命に追い掛ける。幾ら中学生とは言え、彼は私より背が高い。足の長さが違うのだから、こちらが小走りになるのは当然だった。
「獄寺さん速い、です」
「なら追いかけんな」
「そ、それは…出来ま、せん…だったら…頑張って、追い、かけます」
「………」
息を切らしながらそう告げると、急に獄寺さんの足が止まる。止まってくれた事にホッとしつつも、どうしたのか疑問に思うと、彼が気まずそうにこちらを振り返った。
「走って…平気なのか」
「え」
「…まだ体調が万全って訳じゃねぇんだろ」
私は目を見開く。確かにあの妙な体験以降、体調は万全ではなかったが、それを獄寺さんが気にしてくれていた何て…。
「心配…して、下さるのですか?」
「ばっ///」
嬉しさの余り、彼に真意を訊ねてみると、途端に顔を真っ赤に染める獄寺さん…。それから怒ったように拳を振り上げ、私に詰め寄って来た。
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