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* The end of the dream is a dream.



夢を見る。
何度も、いつからかなんて、忘れてしまったけど。それは、私が一番恐れていて、私が一番望む夢。
彼女の細い指が私の胸をゆっくり撫でてくれる夢。彼女の淡い吐息が私のあそこを掠める夢。彼女の手が私の首をそっと絞めてくれる夢。
喉を仰け反らせようとしながら、霞んで歪む視界の中で彼女の微笑みを見ながら、あぁあぁと、妙に興奮しながら文字通り意味通り私の命が果てる夢。
手足は自由にされているのに、彼女に抵抗なんかしなくて、まずする気なんてない無力な、というよりは彼女にこのままなんて従順なふりをして、実は自分の欲に忠実な私とかだけが、私と彼女の知る現実。
彼女の手でさっさと逝きたい。息絶えて、あわよくば来世も彼女の手で逝かされたいとか思ってる。彼女の攻撃性も、それの裏にある独占欲みたいな躊躇いみたいな、私だけのこと考えてる実は本当はの私への依存とか。
全部全部とっくに見通して、でも、彼女に刺されても撃たれても殴られても、あぁでも一番はやはり首を締め付けられて逝きたいというのはあって、そんな私はなんとなくずるいと思う。
一度切りの人生、一度だけの生まれ方、一度だけの死に方。一度しかないから、死んでしまったら彼女の手や考えに二度と触れられないというのが私の恐怖で、でも早く速くはやく彼女を一番感じる方法と瞬間で逝ってしまいたいというのが私の人生で一番の望み。
私のどこかしこに傷、キズ、痕、キス、色んな物を残していくときの彼女は世界中で一番可愛くて、残酷で、でも優しくて、本能的で、綺麗で、あぁ語り尽くせない。彼女の全てが私のあちこちに刻まれてる。刻ませてるとも言えるのだけれど。

「痕、付けて良い?」
「いいよ…っ、好きなだけ付けて…」

この夢でもあの夢でもどの夢でも、現実ではもっと、彼女の痕は私にとって痛々しく、だけれど心地よいもの。

汚して、噛み砕いて、締め付けて、抱いて、壊して。もっと強く愛して。

私を傷付けたくても壊したくはない彼女。私に傷を付けるのは、私が彼女以外の誰も視ないよう意識させないため。実は本当はの私への依存と独占欲。

首に掛けられたら手に縋りつくのはこれが夢で、現実の彼女を傷付けないと知っているから。縋って催促なんてしてしまえば、彼女は独りで泣いて死んでしまう。あの子は本当は弱いのだ。

あぁ、だったらせめて、夢の中だけでもあなたに壊されたい。



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あきゅろす。
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