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その人へと、駆け出して
その影ですら、遠くの続きです




『ハレ、ルヤぁっ!…ハレ…、ヤ!ん、ぁっ…!』

何度もリピートされる声。
耳を塞いでもその声が止むことはない。
大好きなあの人の声が紡ぐ、大嫌いなアイツの名前。
耐えられない。

「アレルヤ様、そろそろ学校に行かれるお時間です。」

ドア越しに聞こえる手伝いの者の声。
気付けば夜が過ぎ、朝になっていたらしい。

「今日は体調が優れないから、休むよ。」
「…かしこまりました。連絡をいれておきます。」

僕が欠席だなんて小学生のとき以来だ。
それに体調がすぐれないわけじゃない。
たしかに気分は最悪だけど。

「あ、ねぇ、ちょっと!」
「なんでしょうか。」
「…この家に、ティエリアって人が来たことってある?紫色の髪で……ハレルヤの、友達の。」
「ハレルヤ様にはあまり関与しないように言われておりますので、お名前は存じませんが…。ハレルヤ様やアレルヤ様と同じ制服を着た、紫色の髪の眼鏡の方は、何度かお泊りになられてますよ。」
「そう…ありがとう…。」

あぁ、僕は馬鹿だ。
すぐ近くの部屋に二人がいたのに、気付かないなんて。
僕が会長に想いを募らせている間にも、二人はもうすでに―…

笑いが込み上げる。
自分の馬鹿さと愚かさと鈍さに。
笑っているのに、目から涙が止まることはなかった。





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あきゅろす。
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