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その影ですら、遠く
「……最後に、この学校の生徒になったことに誇りを感じ、この学校の名に恥じない、品格のある行動を行って下さい。これで挨拶を終えさせていただきます。」

入学したその日、壇上にいるあの人はすごく眩しく見えた。




   その影ですら、遠く




 ティエリア
その名は、我が家で何度も出るものだった。
決して、いいところの出というわけではなく、奨学金でうちの学校に通っている生徒。
学校始まって以来の優等生と噂され、通常三年生がなるはずの生徒会長の職も、全校生徒から推薦され異例に二年生で就いてしまった生徒。
中学時代からどんな人なんだろうと想像を広げ、合格が決まってからは入学式が楽しみでしょうがなかった。
そして入学式での生徒会長挨拶。
校長の挨拶よりもかなり短いのに、中身が濃いもののように思える。
紙などを一切見ずに、僕ら新入生のほうを向いてはきはきと話すその姿は、すごくかっこよかった。
まるで、本当に一人一人に語っているのかのように、心に強く響くものがあった。
まさに、僕の理想の人物だった。

うちの学校は生徒会長のみ選挙、他の役員は志願制だったため、入学式の翌日、僕は早速副会長に志願した。
一年生の志願者が少ないこともあり、僕はすぐに副会長に抜擢された。

「会長のティエリアだ。」
「あ…、副会長になったアレルヤです。よろしくお願いします。」

入学式から五日後、僕と会長が初めて交わした会話だった。





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