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Look you in…
By the Irony of…の続きです



身体が怠い。
気持ちが沈んだように重い。
その気持ちを写し取ったかのように、今日は朝から雨が降っている。


『俺、先生のことが好きなんだ…っ!』




  Look you in…




考えたくないのに、思い出される昨日のこと。
刹那は、この言葉を言うのに、どれだけの勇気がいったのだろう。
男同士で、教師と生徒という関係で…
アイツは賢いから、きっと伝えてはいけない想いだとわかっていたはずだ。
それなのに、あんなに必死になって、俺に想いを伝えて…

補習や授業のときの刹那を思い出す。
アイツはよく、俺をじっと見ていた。
だから刹那のほうを少しでも見ようものならば、目が合ってしまう。
その度に俺はどきりとして、その度に目線をそらしていた。

アイツはちゃんと向き合っていた。
俺にも、自分の気持ちにも。
なのに俺は、刹那どころか自分の気持ちからも目をそらして…

情けねぇ、まったく…

けれど、もう後戻りはできない。
この恋は叶えてはいけない。
昨日ひどいことをしてしまったし、俺は刹那に嫌われてしまっただろう。

ぐらつく気持ちにそう言い聞かせ、俺は重い身体を引きずるように学校へと向かった。


‡‡‡‡


刹那は学校に来なかった。
刹那が欠席したのは初めてのことで、風邪が欠席理由となってはいるが、本当の理由は昨日のことなんだろう。
平静を装って授業をしたものの、刹那のことが気になってしょうがなかった。
俺は、アイツをどれだけ傷つけてしまったか…

すべての授業を終えても、悶々とした気持ちは朝とまったく変わっていなかった。
仕事に没頭すれば少しは忘れていられるだろうと、俺にしては珍しく、学校に残って仕事をした。
仕事のことだけを考えようと、半分躍起になって。
こんなに仕事をしたのは初めてかもしれない。
気付けば、外はすっかりと暗くなっていた。
朝から降っている雨は、いまだにシトシトと降り続けている。
仕事で疲れたせいか、やっぱり重い身体を引きずって俺は家へと帰った。





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あきゅろす。
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