小説(短編&ドール小説) 紅茶専門喫茶店『ドミール』3 「お待ちしました〜」 暫くして紙袋を胸に抱えたウテナが戻って来る。 一気に静かになった空間に、心中でお約束ねとクスリと軽く笑い、閃琅に紙袋を差し出す。 「お会計は月末に纏めてで良いんですよね?」 「はい。よろしくお願いします」 紙袋を手渡された閃琅は、紙袋を一旦カウンターに置き、メニュー表を手に取り眺める。 「‥今日は‥そうですね、この『桜のフレーバーの紅茶』を頂きます」 この喫茶には四季折々のフレーバー紅茶やスイーツが用意されており、それぞれ根強い人気があるが、時期を過ぎれば勿論メニューには載らなくなってしまう。 それ故に常連は真っ先に季節限定のメニューを頼むのだ。 「畏まりました」 ニコリと桜のような柔らかな笑顔を向け、ウテナは紅茶の準備を始めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |