小説(短編&ドール小説) 紅茶専門喫茶店『ドミール』5 「ありがとうございます」 ニコリと微笑み礼を言い、良かったらこれを、とピンク色の花びら型のクッキーが三枚ほど乗った白い皿が出される。 「これは?」 「実は試作品の『桜のクッキー』なんです。桜の塩漬けを入れてみました。今回も閃琅さんに味見して頂けたらと思いまして」 「あぁ、そうでしたか。では遠慮なく頂きますね」 皿から一枚クッキーを摘まみ一口かじると、サクッと良い音が鳴った。 店内が静まっているせいで余計に音が響くようだ。 「....桜の花びらの塩漬けがとても良いアクセントになり、甘過ぎない上品な口当たりになっていますね。仄かな風味もてとも爽やかで」 サクサクと音をたてながら、一枚、二枚と食べて行く。 [*前へ][次へ#] [戻る] |