休憩@
とりあえず、服の埃を手で払い落とす。
「畜生。まだ痛みやがる」
着地の瞬間に膝を曲げて衝撃を軽減。骨にダメージは無かったが、痺れが中々取れない。
「荷物は、無事か。たくっ、高値で買わないと許さねえぞ」
若干右足を引きずりながら私は憎たらしいラビリンスを後にする。
一度だけ振り返る。いびつな山が私を見下していた。
「笑ってんじゃねーぞ。こっちは蜜蝋の翼なんて持ってないんだ」
虚し過ぎて泣けてくる。
◇
ジャングルの中で巨人が積み木をしましたなんて言われれば納得出来る。実際は植物の異常増殖だけど。なんつーか斑だ。
元は道路だったろうに樹木の大蛇がえぐりまくって面影もない。
大小の建物が無秩序に建てられていて、まともなモノから硝子が全部割られているのだったり、半壊全壊していたり、銃声でキャッチボールしている。
川の3分の1は腐っている。タンパク質の塊が流れてきたりするのは日常。奥にある綺麗な湖には魚がいるからたまに釣りをして、糧にしたりもする。
天井には外の世界と連動して点灯と消灯を繰り越す人工のアポロン様が。第二の楽園計画は確かに休止した。けど、発電所や空気清浄機は生きている。政府からの『大掃除』もない。
それは何故か?実は、私も詳しい事情を把握しきれていない。とりあえず、ラッキー。自然と科学は仲良くツイスト踊ってるわけですよ。
さらに説明するなら、上から見ればココは4つに分かれている。
イーストブロック。ラビリンスがある廃ビルの山。金めのモノが沢山落ちている。
ウエストブロック。住宅地。比較的安全な場所。
サウスブロック。マフィアの大運動会場。
ノースブロック。発電所と空気清浄機。下水処理場があるライフライン。
私が向かっているのは、ウエストブロックの一角。
「ターケーモートー!!」
自分では惚れ惚れするぐらい優しい声で扉を蹴り開ける。錆びていたちょうつがいがミシっと壊れかけるが関係ない。なんならぶっ壊して風通しよくして差し上げましょうか?
「のあ!・・・・・・なんだレオか。一体どうした」
コンビニぐらいの大きさのなんでも屋・ショップ。食料から堕胎薬まで売っている店だ。
で、オーナーがコイツ。顎髭がうざい中年。
「どうした。だ?」
カウンター越しにタケモトの襟首を掴み、私は極上の笑顔で言う。
「簡単な仕事だって、おっしゃいましたよね、貴方。確かに簡単な仕事でしたよ」
あっ、やっぱ無理。
「アリアドネのアップデートをしていないっていうのはどういう冗談だ!!危うく死にかけたんだぞ!この私に紐無しバンジーをやる趣味があるとでも思ったかああああああ!!」
ブンブン頭を振り回す。このまま脳みそグチャグチャしてやろうか!
「落ち着けレオ!そもそもお前が上手く戦えばオールオッケーだったんだ!お前も悪」
「黙れこん畜生!」
◇
数分後。私は顔が真っ青な地球外生命体を作って、大きく溜め息を吐いた。
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