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勿論、組に混じっていた白川の者は知らない
 
じゃぁ他にも誰かいたってことか?
 
考えがぐるぐると頭の中を駆け巡る
 
「遙…」
 
「はい」
 
「本家の所々の監視カメラを隅まで見ろ」
 
遙は一礼をして、仕事についた
 
これにはなにかある
 
多分…詩遠に関係のあるものの仕業だ
 
いや…詩遠の親だ
 
詩遠の両親は詩遠が幼いときに、亡くなっている
 
詩遠は棄てられたと思っているが
 
二人はとても子供が産まれてくるのを楽しみにしていた
 
名前は父親の方が正孝(マサタカ)、母親の方が幸恵(ユキエ)
 
この人たちは俺らヤクザにとって伝説の人間だ
 
まだ生きていた頃、とてもお世話になった
 
久原組…まぁ俺だが
 
ここは荒れていて、いつも組を潰しては縄張りも広げていった
 
別にヤクザにとっては当たり前だが、この人たちはそれを嫌がった
 
正孝さんの母親、つまり詩遠の祖母にあたる人は、俺の前の代の父親と仲が良かった
 
やはり父親も荒く、詩遠の祖母に助けて貰った
 
だから詩遠の力を知ったときも、俺は思った
 
お前で二人目だ…と
 
幸恵さんが詩遠と同じ力を持っているのだ
 
でもいきなり二人の生息が途絶えた
 
調べてみたところ、どこかの組に殺されたらしい
 
まだそいつらの正体が分からなかった…これをきっかけに見つかればいいと思う
 
そしたら俺がこの手で潰してやる
 

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あきゅろす。
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